「努力しすぎんほうがええんよ」。徳島のお父さんが教えてくれたこと
はじめまして!クラウドファンディングプラットフォーム CAMPFIREでローカル担当をしている菅本香菜です。
全国各地の方々の挑戦をサポートしたり、クラウドファンディングを通して地域を盛り上げる方法を地元の方と共に考えたりしている毎日です。
副業では「旅するおむすび屋さん」をしています。店舗は持たずに、全国各地でおむすび会を開催する“人と地域をむすぶ”おむすび屋さんです。
本業でも副業でも、地域を飛び回っている私。東京が拠点ですが、1ヶ月の内2週間は出張で東京を離れています(そろそろ私のデスクが無くならないか心配です)。
そして、「地方出張」と聞いても思い浮かばないようなことを、日々体験させてもらっています。例えば、Wi-Fiは飛んでいるけど水道とガスが通っていないお家での宿泊体験や、道が細すぎて車が一台も走っていない離島への訪問、早朝(深夜?)1時から6時間かけてのリアル漁師体験などなど。
そんな私が、各地域で出会った魅力をこれから連載でお届けしていきます!
「各地を飛び回りたい」と思った原体験
なぜ地域を飛び回る仕事に就きたかったのか、まずその原体験についてお話させてください。
福岡で生まれ育った私ですが、小学生の頃、他の地域の小学校と合同で開催される合宿に積極的に参加していました。
実は、小学校ではなかなか人間関係がうまくいかなかった私。
「学校」という狭い世界で少し苦しい毎日を過ごしていました。
そんな中、合宿に参加すると同世代の子どもたちや知らない地域のおじいちゃんおばあちゃんなど、たくさんの「はじめまして」の出会いがありました。新しくできた友達とは自然と仲良くなれたり、初めて出会った地域の人に「またおいで」と言ってもらえたり。
知らない場所に出かけるたびに、居場所が増えていきました。
行く場所によって地域の魅力が異なっていることも、とても新鮮でした。景色、気候、食べるもの、話し方など新しく出会うたびにワクワクしたことを覚えています。
そんな原体験から、
「いろんな地域の魅力を伝えられる人になって、
誰かの世界をちょっと広げるきっかけを作りたい」
というのが私のひとつの目標になりました。
「いつ来ても、いつ出て行っても、
いつ戻って来てもええ」
CAMPFIREに就職し、晴れて地方を飛び回りながら仕事ができるようになった私。
「せっかくたくさんの地域に関わらせてもらうことになったのだから、地域の魅力づくりに貢献できるよう頑張らないと」
と、最初のうちは、肩の力が入る日々が続いていました。
そんな時に出会ったのが、徳島県神山町で移住者に「お父さん」と呼ばれて親しまれている岩丸さんです。移住者が多いことで知られるようになった神山町ですが、そこにはきっと何か特別な努力があったのだろうと、岩丸さんにその理由を伺いました。すると、
「なんでやろうなあ。ニコニコしとったらこうなった」
と、満面の笑顔。
「努力しすぎんほうがええんよ。移住したい子に、何でもかんでも提供する地域あるやろ? 家とかお金とか。
でもね、そうすると地域側が移住した子に勝手に期待をかけすぎるんよな。プレッシャーになってかわいそうや。この地域で暮らすことの不便なところも含めてありのままを伝えて、フォローできることはフォローする。逆に移住者に教えてもらえることは、教えてもらう。
そんな関係でありたいし、いつ来ても、いつ出て行っても、いつ戻って来てもええ。そんな場所でありたいね」
岩丸さんの言葉を聞いて、小学生の頃に新しい世界に飛び込んだときの感動を思い出しました。あのときに感動したのは、確かにありのままの地域の姿であり、その地域に暮らす人でした。
無理に地域を良く見せようとするのではなく、地域のありのままの姿を伝えることで、地域の本当のファンを作れるのではないか、と気づけた出会いでした。
岩丸さんと。
そこからは、出かけた地域での暮らしをしっかり楽しみ、等身大で会話することを大切にしています。それぞれの地域で出会った体験や言葉は、私の世界を豊かにしてくれています。
みなさまにも、連載を通してそのおすそ分けができるよう頑張ります。
どうぞ、お付き合いくださいませ!