「他人の夢を生きるほど、人生は長くない」。『PLAYBOY』の父、ヒュー・ヘフナーの生き方

現地時間9月27日(水)、『PLAYBOY』の創刊者ヒュー・ヘフナーが亡くなりました。老衰の末、稀代のプレイボーイは静かに息を引き取ったそうです。公式Twitterは、数奇な人生をひと言で表す、ヘフナーのこんな言葉で訃報を報じました。

「他人の夢を生きるほど、人生は長くないぜ」

シルクのバスローブを身にまとい、両脇に数多くの美女たちをはべらせ、きらびやかな豪邸で過ごす日々──まさに、“プレイボーイ”を地で行くような人物、世界中の男性たちが羨むような人生だったのでしょう。

ですが、人生を謳歌するドン・ファンのように映るのは彼の表層的な部分だけなのかもしれません。激動のアメリカに翻弄されながらも、多大なる活動をしてきたヘフナーの、もうひとつの一面を、私たちはどれだけ理解しているのでしょうか。

18歳から80歳の
男たちに向けた雑誌

軍事関連の雑誌のライターとして職をスタートしたヘフナー。後に男性誌『Esquire』のコピーライターとして活躍します。1953年にコピーライターを退職後、月刊誌『PLAYBOY』を創刊。60年代には自身の豪邸「プレイボーイ・マンション」からの番組も中継されるなど、その名を広く知らしめることに。ポルノ雑誌の可能性を広げ、『PLAYBOY』の文化を築き上げた父。

象徴的な表紙のきわどいセクシー写真を、どんな男性だって一度は手にしたことがあるはずです。でも、ただのエロだけにあらず。ヌードグラビアだけでなく、メンズファッションとマナー、お酒やカクテルのたしなみ、流行りの音楽や時事問題まで。メンズカルチャーを牽引する情報誌として、“PLAYBOY哲学”を多くの男性たちが参考にしたのです。

アメリカの男子たちが「『PLAYBOY』はヌードだけじゃなくて、報道記事も読みたいから買ってるんだよ!」という言い訳が鉄板になるほど、影響力があるのです。

社会運動家としても
大きく貢献

実は、ジャズ愛好家で公民権運動家でもあったヘフナー。創刊当時のアメリカは、未だに有色人種への差別が当たり前だったご時世。そんな中で、ジャズ・ミュージシャンのマイルス・デイビスから始まり、ボクサーのモハメド・アリ、公民権運動家のマーティン・ルーサー・キング・ジュニア、そしてマルコムXらを誌面で次々とインタビューを組んで特集しました。

また、1959年にシカゴで開催された『Playboy Jazz Festival』では、白人と黒人のミュージシャンを同じステージで演奏させたりと、革新的な活動も。

さらに、女性の性と健康に対する権利にとても積極的に活動し、避妊薬の推進や女性たちの表現の窓口を広げるなど、女性たちの権利を強く主張。当時からアメリカ自由人権協会や、レイプ被害者たちをサポートする非営利団体への寄付を続け、フェミニストとして精力的に活動していたようです。のちに初の黒人プレイメイトを表紙に起用するなど、黒人女性の美しさとセクシーさを世に広めたと言っても過言ではありません。

とはいえ、当時は第二波フェミニズム運動も活発になりつつある時代。「ヘフナーはポルノ製作者であり、フェミニストではない!女性を“セックス・オブジェクト”として扱っている!」と女性フェミニシストたちからの反論も多くあったようです。

女性たちへのリスペクトを忘れずにいつつも、雑誌のポルノ表現として利用していたヘフナーは、フェミニズムの友人と敵を抱える、複雑な立ち位置に。女性たちの可能性を広げた反面、やはり女性の裸体を商品として扱う『PLAYBOY』は、いつも論争の中心にあったのです。

激動の時代を生きた張本人だからこそ、自らの影響力を使い、社会的な活動にも積極的だったのでしょう。きっと、先の言葉通り、他人の夢ではなく、自分の夢である“快楽”と“平和”にたどり着こうとしていたのではないのでしょうか。

新たな文化の開拓者として、そして社会派としてアメリカのみならず世界中に影響を与えた偉大なる常識破りのプレイボーイ、ヒュー・ヘフナーのご冥福をお祈りします。

Top Photo by Rachel Murray/Getty Images for Playboy
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