性暴力被害にあった男性たちの告白
NPOの1in6が制作した動画には、5人の女性が登場します。彼女たちは、ある文章が書かれた紙を渡されて、一人ずつ読み上げます。そこにあったのは、見知らぬ誰かがうけた性暴力の体験談。感情移入してしまい、涙を流す人も。
ただ、この動画撮影の目的はこれだけではありません。書き手は皆女性だと思いこんでいた彼女たち。文章を綴ったのは、実は全員男性だったのです。
まずは、女性たちが音読した文章の一部から紹介します。
もう遠い昔だけれど、
鮮明な過去の出来事を告白
「8歳のときに、従兄に暴行された」
「近所の人に家に連れて行かれて、レイプされた」
「4回、別の場所で性的暴行を受けたことがある」
「お母さんに暴行されたことを伝えたら、家から追い出されて笑われた」
手元の文章を読み終えた後、「もしこの人物に会えるとしたら何て伝えたい?」と聞かれると、女性たちからはこのような声があがりました。
「この女性を抱きしめて、『あなたのせいじゃない』って言ってあげたい」
「まだ小さい女の子だったのね。自分を責めないでって言いたい」
彼女たちは、まだ会ったことがない被害者たちへエールを送りました。発言内容から見て、この文章の書き手が女性だと思い込んでいるようです。
と、そこで本人たちが登場。
彼女たちが目にしたのは、ガッシリとした軍の男性や背の高い男性。誰もが、道で通りかかってもあのような辛い過去を背負っているなんて想像できない人たちばかり……。
この動画が本当に伝えているのは、被害者の過去だけではなく、男性も同じように性暴力の被害にあっていて、彼らは身近にいるのだという事実。「お母さんに笑われた」なんて書いている人もいましたが、男性が被害にあったというだけで周囲から理解を得にくい場合があるのだと伺えます。
動画を制作した1in6は、日本語で6人に1人という意味。アメリカでは、性的虐待や暴行を受けたことがある男性は、6人に1人にも及ぶと言うのです。
ある男性は、「女の子じゃないんだから泣くなと言われた」と悲しそうに過去を振り返ります。無意識に思い浮かべる男女のイメージを元に放った言葉が、誰かの心を深く傷つけることもあるのです。
動画のフルバージョンはこちらから。