トランスジェンダーの男性。カミングアウトで失ったものと手に入れたもの。
Jaimie Wilsonさんは、アメリカ・フロリダ州に暮らすカントリーミュージシャン。端整な顔立ちと爽やかな笑顔が魅力的な彼ですが、つい数年前は「女性」として生きていました。
大切な人たちに
理解してもらえない孤独
Jaimieさんは保守的な家庭に生まれ、自分が感じる性への違和感を周囲に伝えることができない孤独な時代を過ごしたそう。成長するにつれ「体と心の違和感」は強くなり、18歳の時にとうとう自分に嘘がつけなくなりました。
髪を長く伸ばし、花柄の服を着て、メイクをしてアクセサリーを身につけていたJaimieさんがカミングアウトをした時、家族や友人は驚き、中には非難する人もいたとのこと。
「トランスジェンダーを告白した日、僕は家族を失った。
昔が懐かしくなることもあるよ。両親が恋しくなることも。周りの友人も、2年間かけて身体をつくりかえた僕に『そんなに男らしくする必要なんてあるの?』と言った。
カミングアウトするのは怖かったよ。こうなるのが怖かった。できれば、みんなに理解してほしかった」
失うことで
新たに得られた財産も
「でも、失ったものの代わりに得たものも大きかったよ。
自分の身体と心の違和感にも、誰にも打ち明けられない孤独にも、もう苦しむ必要がなくなったんだ。もう誰にも隠さなくていい。そして、たくさんの人が去っていった中で、本当の僕を受け入れてくれる人と出会うこともできたしね」
そう語るJaimieさんは、Instagramに「ありのまま」の写真や心に沁みる歌声を投稿し、40万人以上のフォロワーにメッセージを送っています。
「トランスジェンダーであるかどうかを、検査結果で判断する必要はないと思う。
自分のアイデンティティに嘘をつかなくていいんだ。
誰かと同じ人生なんて存在しないし、あなたは『あなた自身』になるためにこの人生を生きているはずなんだから」
「そしてどうか、セクシャルマイノリティの人があなたの周りにいたら、受け入れてあげてほしい。トランスジェンダーであること、ゲイであること、バイセクシャルであること。それを勇気を持って告白した人のことを、ありのままに認めてあげて。
『こうあるべき』という固定観念は、打ち砕かれるべきだ」
「世界にあなたの笑顔を変えさせてはいけない。
あなたの笑顔で、世界を変えるんだ」