絶対に「一面」では語れない。トランスジェンダーたちの生の声

「トランスジェンダー」も、十人十色。

「ただ世間では、しばしば『トランスジェンダー』というひと括りで語られてしまうのです」

と訴えるのは、ライターのBasilフォトグラファーのJo。そこでふたりは、2ヶ月かけてアメリカを周りながら、トランスジェンダーの人たちを撮影し、インタビューを敢行したのです。

01.
「Tinder」で出会った
MAZとMAXのカップル

ふたりの出逢いは、マッチングアプリ「Tinder」がきっかけでした。

お互いの好きなところは?

MAZ:「彼女はしょっちゅう、とんでもないダジャレで笑わせてくるんだ。最高だよ。」

MAX:「彼はとても優しくて辛抱強くて、思いやりがあるの。私がおかしなことを言っても、突然怒ったりしないしね。誰が見ても良い人よ」

02.
大病を乗り越えた
SAMSONさん

「21歳のとき、大きな腫瘍を患ってね。生死をさまよう経験をしたんだ。長い闘病の末に元気になったときには、価値観が180°変わったよ。もちろんお金やキャリアは必要だけど、もっと日々の暮らしを大切にしたいんだ。家族と一緒にマイホームに住むのが夢。子どもは6人欲しいな。一人っ子の僕みたいに、寂しい思いをして欲しくないからね」

03.
差別問題に立ち向かってきた
LEE ANNさん

1952年に生まれ、アメリカ南部の激しい人種差別と女性差別のなかを生き抜いてきた彼女。

「受け身になんてなれないわ。黒人解放に立ち向かったエルドリッジ・クリーバーだって、こう言ってるじゃない。『もしあなたが問題を解決しようとしていないのなら、あなた自身が問題の一部であるのと変わらない』ってね」

04.
アイデンティティに苦しみ
旅に出たVIAさん

たくさんの移民が暮らすことで知られるNYのクイーンズ地区や、黒人の多いジャマイカで育ったVIAさん。
「『ここには僕しかいない』って、子どもながらに思ったよ。ただひとり、僕は小さくてぽっちゃりなアジア人で、なおかつトランスジェンダーだったからね。今となっては、貴重な経験さ」

時には、自分を見失ったこともあるそう。

 「大学卒業後は、南アフリカで働き始めたんだ。当時の僕は、自分のことが分からなくなっていて…。だから自分探しのために、一週間の旅に出かけたよ。

そのとき、色んなことをしたね。ロッククライミングにスカイダイビング、バンジージャンプ。サメのケージでダイビングをしたり、山をハイキングしたり。このとき、やる気さえあれば何でもできるんだ!ってことが分かったんだ。とても大きな気付きさ。

それ以降、ロッククライミングにハマってる。単なるフィジカル的な運動だと思われがちだけど、これって自分自身と向き合う最高の方法なんだ。『僕は落ちるリスクを犯してでも先に進みたいのか?』って、自分に問い続けるからね。本気で集中してやると、人生の次のステップにも進める気がするんだ」

05.
失恋から立ち直った
CARMENさん

1年前、恋人と一緒にニューオーリンズに引っ越してきたCarmenさんは、恋人と別れたあとも街に留まることを選び、ピット・ブル・テリアの保護施設で働いています。

「時々、ピット・ブルの姿が自分に重なるときがあるわ。この子たちって、闘犬用に交配された犬だから、攻撃的で力も強いのね。法律で禁止している国もあるくらい。だから『危険』っていう、外から与えられたイメージに苦しめられているの。性格なんて、それぞれ違うのにね」

06.
子育てに励む
RILEYさん

複雑な家庭で育ったというRileyさん。

「僕は家族を愛していたんだけど、家族は自分を愛してくれなかった。トランスジェンダーについて、理解してくれなかったんだ」

そんなRileyさんは、精子ドナーの提供を得て、子どもを作りました。

「分娩室ではじめて赤ちゃんと対面したときは『これから責任を持って、この小さな命を育てなければならないんだ』って、身が引きしまる思いだったよ」

07.
「銃乱射事件、覚えてる?」
SEPTEMBERさん

営業とメンタルヘルス施設の職員という2つの仕事を掛け持ちしながら、ヨーロッパの古武術やアクアリウムなどの趣味を楽しんでいるというSEPTEMBERさん。

「ネブラスカ州のオマハで起きた、銃乱射事件を覚えてる? 8人が亡くなって、犯人も頭を撃ち抜いて自殺した、あの事件。実は私ね、犯人と知り合いだったの。こんなことって、あるものなのね…」

08.
先入観に疑問を投げかける
BRODEYさん

「この間、トランスジェンダーの人に聞かれたんです。『男性とデートをするだけなら、わざわざ性転換しなくてもいいんじゃない?』って。

その答えはね、私が“男性”で、男性が好きだからよ。絶対的に正しい答えなんてないはず。先入観を取っ払おうとしている私たちトランスジェンダーが、自分たちを無理やり同じように分類しようとするなんて、おかしな話よね

09.
ヨガインストラクターの
SPARKLEさん

「10代のときに習っていた歌の先生に『あなたにはカリスマ性がある』って言われたの。そんな風に褒められたのは初めてだったわ

そう語るSparkleさん。その先生の勧めで始めたヨガにのめり込み、今ではヨガのインストラクターとして働いているそう。

「私の夢はね、演技や歌をもっと勉強して、舞台に立つことなの」

10.
障害を持つ息子と生きる
DANIELLEさん

Danielleさんの趣味は、息子のPeterくんと一緒にランニングをすること。道行く人からじろじろ見られることもあるけれど、ホルモン療法を6カ月続けたことで、だんだん気にならなくなってきたそう。

「Peterには1年前に打ち明けました。この子は遺伝病があるから話せないんだけど、にっこりと微笑んでくれました。その笑顔に心が救われたんです」

「みんな同じなんだ」

「このプロジェクトを通して伝えたかったことは?」と、最初に紹介したBasilJoの2人に聞いてみました。

「トランスジェンダーたちも、ジェンダーにとらわれない個性を持っている。シスジェンダー(生まれ持った体の性別と心の性別が一致している人)」たちと、何ひとつ変わらないんだよ」

「私たちは先生だったり、お母さんだったり、警察官だったり。みんな同じだよ。それぞれが美しいし、色んな性格を持っている。トランスジェンダーたちにも心からそう感じて、誇りと希望を持って過ごして欲しいな」

この想いを世界中に伝えるために、クラウドファンディングサイトでは、プロジェクトに共感してくれる人からの出資を募っています。

Licensed material used with permission by TRANSILIENT
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