「他人と夢を共有できるってホント?」。米・研究家

この問いかけを確かめようと調査を行っているのは、ノースセントラル大学で教鞭を振るうPatrick McNamara博士。ボストン大学で心理学の博士号を取得後、ボストンVAメディカル・センターの研究員になり、15年にわたって「夢」を調べています。

アメリカ国立衛生研究所から2つの賞を受賞した経験もある彼が、今も関心を寄せているのは、「夢の共有」。以下、「Psychology Today」に掲載された記事を転載します。

2人で「同じ夢を見た」
という報告は数千件を超える

ーー以下、Patrick McNamara氏の記事を転載。

私が知る限り、この問いに対する科学的な調査は行われていませんが、2人の人物が同じ夢を見たという報告は数千件以上あがっています。最も多いのがセラピストとクライアントのケース。

続いて多いのが、双子。さらに親子、夫婦、兄弟、恋人のような親密な間柄でも例が上がっていますが、これは夢の共有に心の親密度が影響していることがわかります。また、見知らぬ他人同士が同じ夢を見ていたという例も稀にあります。

しかし、科学的な根拠がないこれらの証言を「事実」とするのは難しく、彼らがそう信じているだけの可能性もあり。同じ夢を見たという2人の証言は、詳細に食い違いがあります。IQや記憶力などの違いがそうさせているのかもしれません。

私は彼らを信用していますが、科学的な調査が行われていないので話を鵜呑みにはできません。とはいえ、彼らがウソをついても何のメリットもありません。

「2人の人物が同じ夢を見る」。これは科学的に何を意味するのでしょう?

もし、脳が夢を生産しているならば、同じ夢を作り出す脳が2つあるいうことになります。しかし、双子の脳でさえ大きく異るので、別々の脳で同じ夢を創造することは不可能に思えます。

では、夢が「脳の産物ではない」と仮定してましょう。

夢が私達の前に“現れる”ものとも捉えるのです。ともすれば、個人間に発生する「なんらかの共有空間」を知覚し合っているーーとも考えられます。

夢は、個人の脳よりも大きいもの。そして、抽象的で純粋な形態をしている。だからこそ、その空間に同調した複数の脳へと出現できるのでは…。

でも、それならなぜ夢として現れるのでしょうか。なぜ起きている時に現れないのでしょうか。私の前にも、ハッキリとその姿を現してはくれず。今は、科学的な根拠がないことばかりであるからか、「夢の共有」は調査対象として扱われていない分野でもあります。

しかし、だからこそ研究する価値があると思うのです。

不思議な現象を調べることは、科学にとってはとても重要なデータなのです。だって、もしかしたら、革新的な発見があるかもしれないのですから。

Licensed material used with permission by Patrick McNamara
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。