シャーロック・ホームズの「記憶術」はトレーニング次第で誰でも習得可能【研究結果】

名探偵シャーロック・ホームズが、凄まじい記憶力をみせる「mind palace(精神の宮殿)」は、古代ギリシャ人が発明した「method of loci(場所法)」の一種とされている。

頭のなかに架空の場所を作り上げ、覚えたい事柄を、そこに存在するモノヒトに当てはめるこの記憶術は、一部の天才にしかできないのだろうか……?

「ウィーン大学」の認知心理学者Isabella Wagner氏らの研究によると、その門戸は誰にでも開かれているようだ。

というのも、これまでに記憶術習得の経験を持たない実験参加者を、この手法でトレーニングさせた結果、ほかの記憶法と比べて、より多い容量で、より長期的な記憶を蓄えられることが発覚したから。

実験では、参加者50人に対して「場所法トレーニング」「作業記憶トレーニング(一時的記憶)」「まったく介入しない」のいずれかを6週間実施。

トレーニング完了時に覚えてもらった単語のなかで、4ヵ月後にも覚えていたのは、場所法のグループで平均50語、作業記憶で30語、トレーニングなしで27語だったという。

さらに、MRI(磁気共鳴画像)を用いて被験者の記憶力と脳機能を分析した結果、場所法トレーニング後には脳の活性が低下していたことがわかった。

より少ない脳の動きで、より多くの単語を覚えられたことから、場所法には脳の働きを効率的にする効果があると考えられている。

Wagner氏は「場所法は、習得に十分な時間定期的な練習が必要であり、誰にでも適しているわけではないかもしれません。しかし、強化することで、並外れた記憶力に到達することは可能です」とコメント。

極めれば、世界記憶力チャンピオンの座も夢じゃないかも……。

あ、「世界記憶力チャンピオンってなんだよ!」って思った方は「メモリースポーツ」で検索を。

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