【心理学に基づく】誰でも成功する、プレゼンテーションの魔法の構成
米ヒューマン・ファクターズ・インターナショナル社UXストラテジー部門の責任者。心理学博士。心理学の最先端研究をデザインに応用する方法を、30年以上にわたって研究し続けている。
優れたプレゼンターになりたいなら、心理学的に成功しやすいプレゼンを準備しなくてはなりません。効果的で、説得力があり、人を引き付けるプレゼンを誰もができるように、私は「プレゼンテーションの魔法の構成」を考えました。4つのステップで紹介します。
01.「始まり・中間部・終わり」
の3部構成
の3部構成
構成を考える前に、プレゼンの目標と、プレゼンの開始時の聴衆の状態、終了時にあなたが望む状態との差について、リサーチをもとに整理しておきます。その上で構成を考えましょう。
「プレゼンテーションの魔法の構成」は非常にシンプルです。3部構成で、「始まり」で現状と結果、解決法を伝えます。「中間部」で、現状と結果、解決法を詳しく説明し、「終わり」で行動の呼びかけをします。
以下、プレゼン内容を考えるときの順に従って、それぞれの内容を詳しく説明します。
02.まず考えるべきは
プレゼンの「終わり」に
何を呼びかけるか
プレゼンの「終わり」に
何を呼びかけるか
プレゼンの目標と、プレゼンの開始時の聴衆の状態、終了時にあなたが望む状態との差というリサーチ結果を踏まえて、まずはプレゼンの「終わり」から考えましょう。
あなたが決めなくてはならないのは、どんな行動を聴衆に呼びかけるかということです。聴衆を説得し、慈善活動への寄付を呼びかけるプレゼンを準備するなら、たとえば次のような行動への促しが考えられます。
・100ドル小切手の寄付を求める
・3人の友人にも寄付を誘おうと呼びかけさせる
・次の募金イベントでボランティアとして手伝うように呼びかける
・ニュースレターの購読申し込みを促す
呼びかける選択肢は4つまでにしましょう。それ以上になると、聴衆は選べなくなります。
03.「現状」「結果」「解決法」の順に考える
現状、結果、解決法は、プレゼンの「始まり」の部分でも「中間部(主要部)」の部分でも説明する内容です。まずは、現状から考えます。
「現状」のパートでは、変化の求められる問題や争点について示します。ひとつ例をあげましょう。数年前、私はA社の社長の前で、販売過程を改善するためのプレゼンを行うことになりました。
「現状」のパートでは、聴衆の立場から見た現状を論じるべきです。A社のプレゼンの場合、聴衆は社長とその周りの人々です。社長の関心を引く現状は、貴重な人員がパソコン作業に忙殺され、顧客との交流に時間を割けなくなっていることでした。
私はその会社についてリサーチをして、社員がどの程度販売過程を変えたいと思っているかを調べ、販売員や、社長を含めた他分野の従業員と面談を行って、それに関するデータを集めました。
次に「結果」を考えます。「結果」では、現状を続けた場合にどうなるかを示します。ここで大切なのは、聴衆が関心を持つ点についての結果を述べることです。先ほどのA社の例に戻ると、販売過程を変えなければ販売員は不満を抱えると指摘することもできました。
しかし、リサーチの結果、私は社長が気にかけているのはそんなことではなく、「収益の見込み・販売を終えるまでにかかる時間・販売員の能力」の3つだと知っていました。そこで、それを強調しました。
その次に考えるのは「解決法」です。現状を維持する代わりに何をすべきかを表します。聴衆の関心に沿って現状と結果を述べれば、解決法に耳を傾け、行動の呼びかけに応える覚悟ができます。
04.「始まり」は
プレゼン内容の縮小版
プレゼン内容の縮小版
「魔法の構成」において、始まりの部分は、プレゼン内容の縮小版です。現状、結果、解決法について短く述べます。先に挙げたA社の例で言うなら始まりはこんなふうになります。
「あなたの会社の販売員は、顧客と話す代わりに、毎日デスクについてワード文書を作成し、何時間も無駄にしています。会社の販売過程は破綻しています。それによって1年で400万ドルまで収益は下がり、取引を成立させるのに倍の時間がかかり、販売員の担当区域の拡大を妨げています。販売過程を変えて、正しい軌道に戻りましょう。このプレゼンでは、これから1年間で収益を30%増やす方法、契約完了までの時間を半分にする方法、各販売員の担当区域を20%増やす方法について紹介します」。
「プレゼンテーションの魔法の構成」はシンプルで、誰にでも使えます。この構成を一度試してみてください。
コンテンツ提供元:イースト・プレス