本当の恐怖とは何か?メリル・ストリープが語る「壮絶な過去」。

メリル・ストリープの人間味に溢れた姿を、初めて感じた気がする。

多くの人にとって、『プラダを着た悪魔』や『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』などの名作で活躍する彼女のイメージは、強い女性というものでしょう。さらに、1月のゴールデングローブ賞の授賞式でした、トランプ大統領を批判したスピーチにも、同じような印象を持つかもしれません。

だけど、自分の想いをまっすぐに伝えるハリウッド女優にも、「恐怖」によって身動きができなくなったときがあったそう。言い換えれば、自らの努力によって、今のイメージを築き上げたようです。

過去に2回の暴行を経験。
それが、今の彼女を作り上げた。

去る11月15日、メリル・ストリープは、「the Committee to Protect Journalists' 2017 International Press Freedom Awards」で、ジャーナリストに向けて、尊敬の意を込めたスピーチを行いました。

彼女は、何かの真実を伝えると、たくさんの脅迫を受けることがあると語ったうえで、こう続けます。

「(ジャーナリストの)多くの人たちを心の底から尊敬します。私は生まれつき勇気のあるタイプじゃありませんでした。

自分よりも頭の良い多くの人たちの前で、何かを発言するのは吐き気がするようなことです。だけど、今、できているのは本当の恐怖を知っているから。これまで、人生で2回、暴行を経験しました」

初めの体験では、暴行が終わるまで死んだふりをして、なんとか回避したのだとか。違うときには、見知らぬ人が襲われているのを目の当たりにして、助けに入ったようです。

「私は、これらのことで細胞レベルから変わったと考えています。女性として生きていたら、身の危険を感じるときがあるでしょう。何千年も続く、デメリットかもしれません。

だけど、肉体的に弱いという点が、周囲のことに注意を向けられるというアドバンテージにもなっています。だから、わずかな音にも気づくことができるし、匂いにも敏感です。誰かのクセや特徴をすぐに認識できます。

これは報道をするときにも、役を演じるときにも助けになります」

過去にとらわれず、
自分の強みを見出した。

Photo by Max Mumby/Indigo/Getty Images

彼女自身、これらの経験を乗り越えるのに、どれくらいの苦労をしたのかまでは語っていません。推測するに、身体の傷がなくなっても、心に与えられた傷を癒すには、大変な労力を使ったのではないでしょうか。

当時、次期大統領と決まっていたトランプ氏を臆することなく批判するハリウッド女優にも、僕たちと同じように恐怖を抱えていることがあった──。

だけど、メリル・ストリープの尊敬すべきところは、過去の出来事を正面から受け止め、自分の強みを見出したこと。こう考えると、彼女は人生において大切なことを教えてくれたのかもしれません。

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