「ブッキングドットコム」が明かす、「サステイナブル・トラベル」の実態
世界最大級の宿泊予約サイト「ブッキングドットコム」が、日本の「サステナブル・トラベル」に関する調査結果を公開。
新型コロナの影響で、サステナビリティ、そして旅行への意識はどう変わったのか。
レポートによると、82%もの旅行者が「旅行において、サステイナビリティが非常に重要」と回答し、そのうち42%はコロナ禍影響でよりサステイナブルな旅を望むようになったそう。
ところで、“サステイナブルな旅”とはどんなもの?レポートでは、旅行者が取れるより具体的な持続性のためのアクションについても言及している。
たとえば、もっとも多かったのは「旅行中のゴミの量、そしてエネルギー消費量を減らしたい」という声や、「より環境に優しい交通手段を利用したい」といった意見。
ほかには「旅先ではその土地の文化を代表するような体験がしたい」や「人気のスポットやアトラクションは避け、旅行客の集中を防ぎ利益を広く分散させたい」といった、地域社会や文化の持続可能性を配慮する声も多かったそう。
この調査が始められた6年前と比べると、国内旅行におけるサステナビリティを求める人は増加傾向にあるという。新型コロナの影響で社会問題が“ひとごとではなくなった”今日、持続可能性への意識をあらためる声が広がったのだろう。
なお、これはいい傾向ではあるものの、世界基準でみると日本の旅行者の意識はまだまだ低いという。
というのも、旅先でサステイナブルな活動を実践しているという旅行者は海外の割合と比べると半数以下。
この差の背景には、旅行者自身の意識だけでなく、施設側の発信力の低さも課題として挙げられるそうだ。
グラフが表す通り、日本の旅行者が滞在を希望する施設への期待値はかなり低い。これは「サステナビリティを意識して宿泊先を選ぶ」という概念がまだ浸透していないことの現れともいえる。
「ブッキングドットコム」のパートナー施設のうち、3/4が「サステナブルな取り組みをしている」と回答しているものの、取り組みについてユーザーに積極的に伝えている施設は31%しかないという。ネット上の情報不足によって、利用者が事前に情報を得られない問題が浮き彫りに。
「この時代に、発信不足って......」と感じてしまうが、これはIT先進国に比べてインフラ整備が進んでいない日本ならではの大きな課題のひとつといえるかもしれない。ただ、問題点がはっきりしている以上、改善もしやすいはず。
この先ますますトレンドになっていくであろう「サステナブル・トラベル」。一時の流行にとどまらず、“新しいスタンダード”となっていくことに期待したい。