これからの旅行に必要になるかもしれない「カーボンパスポート」って、なに?
欧州連合(EU)がデジタルパスポートの試験運用を開始した一方で、旅行会社の「Intrepid Travel」はカーボンパスポートなるものの導入を提案しているらしい。
カーボンパスポートとは、カーボンニュートラルを達成するためのアイデア。旅行者は毎年"カーボン許容量"が割り当てられ、使い切ると飛行機やクルーズ船などの利用が制限されるんだとか。
今回の提案の背景には、観光が環境に与える深刻な影響があるようだ。というのは、排出される温室効果ガスのうち、約10分の1を観光業が占めているという事実。
特に比重が大きいのは航空機で、2013年から2018年の間で二酸化炭素の排出量は32%増加したとのこと。エネルギーの効率化などCO2の排出を抑える取り組みは実施されているが、フライト数が増加しているため抑制効果は得られていないという。
また、クルーズ船も環境に悪影響を与えており、硫黄ガスの排出量はヨーロッパにあるすべての自動車から排出される量の4倍とも。
このような背景から、カーボンパスポート以外にもさまざまな取り組みが実施されているとのこと。たとえば、ベルギーでは短距離便が増税の対象になり、フランスでは電車で行ける距離のフライトが禁止されているようだ。
クルーズも同様の措置が取られており、アムステルダムでは市内中心部へのクルーズ船の寄港が禁止されたという話もある。
なお、「Intrepid Travel」は2040年までにカーボンパスポートが実用化されると予測しているとのこと。近い将来、旅行のあり方が変わるのかもしれない。
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