国内75年ぶりの新路面電車「LRT」が宇都宮で開通。何がすごいの?
2023年8月26日、栃木県宇都宮市内で「Light Rail Transit(LRT)」と呼ばれる新型インフラが開業した。
新型インフラと聞くと、空を飛んだり、快速で走行したりする代物を思い浮かべるかもしれないが、登場したのはなんと路面電車。
国内で新たに路面電車が開業するのは実に75年ぶりだというが、これだけ技術が発展した2023年になぜ、わざわざ路面電車が走ることになったのか。
新型交通システム「LRT」とは?
LRTは「Light Rail Transit」の略称で、低床式車両(LRV)を駆使した新たな軌道系交通システムのこと。
近年はフィンランドの首都ヘルシンキをはじめ、ヨーロッパやアメリカ、さらにアフリカ諸国でも導入が進むなど、世界的に新たな都市内交通網の担い手として目が離せない存在だ。
この路面電車が優れている部分は、主に3つ。
1. 環境負荷の軽減
ひとつめは、環境負荷の削減だ。
昨今、世界中で排気ガス等を原因とした地球温暖化への対策が進められているが、LRTでは自家用車と比べて二酸化炭素の排出量がなんと半分になるそうで、脱炭素に向けた取り組みとして期待できる。
2. 圧倒的バリアフリー
2つめは「低床式車両」の導入。
高齢者や車椅子利用者が安心して利用できるだけでなく、ベビーカーでも利用がしやすいという、まさに少子高齢化対策としてうってつけの仕様に。
また、今回整備された宇都宮ライトレールも「完全バリアフリー対応」となっており、地域の足として期待される役割は大きいようだ。
3. 交通網の利便化を通した地域活性
また、LRTは専用の軌道を走行するため、自動車交通量が減少し、道路交通が円滑化することが見込まれる。電車においても、朝や夕方のラッシュ時における混雑の緩和という役割を担っているようだ。
その一方、既存の公共交通機関との乗換えがスムーズになるように整備すれば、インフラシステム全体の効率化を図ることもできる。
つまり、LRTの導入に伴って地域のインフラ全体が見直され、市街地のアクセス効率化と魅力の向上が期待できるということ。
インフラ整備を起点に、地域活性を狙うことができるのだ。
LRTは、21世紀のインフラ改善の鍵?
このように、LRTは単なる路面電車の復活というわけではなく、現代のインフラ問題における“解決の鍵”として期待されている。
宇都宮市のみならず、全国各地で導入への検討が進んでいるということで、今後もその動向から目が離せない。