「食べられる」アートギャラリーinNY

美術館や博物館でよく見かける注意書きといえば、「飲食禁止」……のはずだった。

ニューヨークの「ガゴシアン・ギャラリー」で開催中の「Are we really that different?」は、来場者が作品を“食べられる”展覧会。

と言っても、絵画や彫刻をガジガジかじってもいいですよ!というわけではなく……

© 2021 Brett Beyer, Courtesy of Diller Scofidio + Renfro

「人間と自然の“寄生的な共生”の可能性を提示すること」を目的にして、ギャラリー内で稼働中の都市型農場から収穫できる、さまざまな野菜やお花が対象だ。

高さ40フィート(約12m)の吊り下げ式ボックスの中で、天窓から差し込む太陽光と、点滴パウチから補給される水と栄養分で、生命を維持する植物たち。

照明、水分、温度や湿度のすべてを人間がコントロールした人工農場ながら、2ヶ月間の会期中に500ポンド(約226kg)の収穫が見込まれている。

ちなみに点滴を使う理由は「スプリンクラーシステムをハッキングして水やりすることはできなかったから」なんだとか。

© 2021 Brett Beyer, Courtesy of Diller Scofidio + Renfro
© 2021 Brett Beyer, Courtesy of Diller Scofidio + Renfro

主催者のデザインスタジオ「DS+R」、活動家のLinda Goode Bryant氏によると、展覧会のテーマである「私たちは本当にそんなに違うのか?」の“私たち”が誰なのかは、鑑賞者が決めることができるという。

厳しく管理された植物の展示と人間は、本当にそんなに違うのか。数十年前の人々と現代の私たちは、本当にそんなに違うのか。

食べられて、考える機会にもなるという点では、食育の新しいカタチと言えるかもしれない。

Top image: © 2021 Brett Beyer, Courtesy of Diller Scofidio + Renfro
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。