文化支援に尽力する韓国政府、新たに開催したのは……
K-POPやゲーム、ドラマに映画とあらゆる方面でトレンドを生み出しノリにノっている韓国は、様々なジャンルへと政府が多大な支援を行っていることでも有名。
そんな韓国政府が新たに踏み出したのが、「メタファッション」という新領域だ。
先月末、韓国産業通商資源部が「メタファッション制作発表会」というイベントを開催。ソウルの東大門デザインプラザ(DDP)にて開かれた同イベントは、メタファッションに政府が公式に取り組んだ世界初の事例。
メタファッションとは、画像や動画などで表現されるデジタルのファッションのこと。
デジタルで完結しているメタファッションの世界では、色や素材といった現実世界での制約から解放され、デザイナーがより表現性の高い制作を行えるのが魅力。簡単に言うと、現実世界ではありえないような服や写真などを生み出せるというわけ。
例えば、こんなふうに翼が生えて発光してたり(テーマは「美しき人と世界」らしい)とファンタジー衣装のような甲冑が発表されていたり……。
人が着ていないのにモデルウォークをする写真(これも発光してる。こちらのテーマは「民謡とクラシックの出会い」)も登場。
このように、現実世界において技術的にも資源的にもかなり難しくても、メタファッションならば、デザイナーの思うままに創造できてしまう。
一方で、次の写真のように、ARや合成技術によって人が着ているいわゆるNFT的な作品もある。
ちなみに、この写真に写っているのはアイドルグループ「Secret」の元メンバーであるハン・ソナ。政府主導の作品にアイドルが起用されているというのは、エンタメ大国たる韓国らしいポイントと言える。
しかも、近年の韓国ではKPOPアイドルへの衣装提供などを通して国内のデザイナーたちに注目が集まっていて、世界的にもソウルのファッションは無視できない存在になってきている。
ファッションやアートはエンタメではないけれど、このようにアイドルやドラマといったエンタメのもつ力をうまく使って文化を促進・拡大しているのが今の韓国とも言える。
エンタメの方にも政府の支援があることを考えると、もはや韓国では「エンタメも一つの文化」とみなされているのかもしれない。
これによって、インディーズのデザイナーでも商業という枠にとらわれずにアーティスティックな活動をしていくことができ、またそのようなデザイナーにとってメタファッションは、さらなる表現の場になっていくはずだ。
このイベントを皮切りに、今後は政府主導で作品の販売が行われ、今年11月には30着のデジタルファッションが発売されるとのこと。
これまでにもブランドがメタバースやNFTに参入する例はあったけど、一つの“国”が名をあげて支援する意向を見せるというのは韓国ならでは。
文化を積極的に支援する姿勢は、見習うべき点であろう。
強力なバックアップを手に入れた気鋭のデザイナーたちがどんな作品を見せてくれるのか、続報に期待したい。