「ミイラをミイラと呼ぶのは辞めよう」英博物館からの提案
「ミイラ」と言えば、今でもミステリアスな存在で、博物館で見るとちょっとゾクゾクしてしまうようなイメージを持っている方、多いのではないだろうか。
歴史に関するアドベンチャー映画やゲームでは、主人公を襲ってくるキャラクターとして、お馴染みのミイラ。
実は、そのイメージが原因で、英国を中心に「ミイラ」という名前を改称しようとする動きが起こっている。
英国のグレート・ノース博物館、大英博物館、エディンバラのスコットランド国立博物館では、今後「ミイラ(Mummy)」という言葉ではなく、「ミイラ化された遺体(Mummified remains)」と表記するように方針を変えた。また、もし名前が判明していれば、個人名も記載するように変更しているという。
これらの方針変更は、すべて「ミイラ」がかつて尊厳ある人間の遺体だったことを強調するためのもの。
グレート・ノース博物館の館長であるアダム・ゴールドウォーター氏は、同館に所蔵されている「Irtyru」というミイラのことを、鑑賞者らがかつて実在していた人物であることを認識していないことが多かったことについて語っている。
帝国と植民地時代から受け継がれきてた古代エジプトの秘宝が、尊厳のある形で扱われないことで、鑑賞者に誤解を与える可能性があるとして、名称変更の動きに至ったようだ。
さて、単語は違えど、日本でも「ミイラ」という言葉は広く浸透している。
「ミイラ」という存在が、かつて実際に生きていたという認識は薄まっているのは事実ではないだろうか……?
数千年の時を経ていたとしても人間は人間。歴史的に価値があることは間違いないが、その取り扱いは慎重に行うべきである。
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