「ミイラのレシピ」で分かる、古代エジプト人のこだわり

じつは、かなりこだわりの材料で「ミイラ」は作られていた!

これまで具体的なミイラの作り方が突き止められないなか、科学技術系ウェブメディア『Ars Technica』が紹介した新たな研究結果で、その詳細な制作方法がより明らかに。

© Ars Technica / Twitter

まずは制作のステップを書き出してみよう。

  1. 死体を寝かせ、心臓以外の内蔵を取り除く
  2. 体腔をヤシ酒で洗い、香料植物やスパイス、炭酸塩硬鉱物のナトロンを含んだ袋を体内に残し体を縫い付ける
  3. 40日間体を乾燥させ、乾いた内蔵を容器に保管する(体腔に戻すことも)
  4. リネンの布を乾燥した体に何重にも巻きつける。このとき魔除けのためにお守りを忍ばせる
  5. 全体に樹脂を塗り、棺に入れて完成

じつはこのミイラ作りの工程、2018年の研究により防腐処理に用いられていた材料とともに明らかにされていたもの。世に公開された「ミイラのレシピ」として記憶にある人も多いだろう。

が、最新の研究ではそこからさらにステップ5における樹脂が特定。ミイラ化のために使われていた壺を調査した際、残留物の樹脂の多くはすでに知られているものだったが、新たに発見された成分があったことを科学雑誌『New Scientist』は報じている。

インドおよび東南アジアで得られるナギモドキ属の常緑樹が分泌する天然樹脂の「ダンマル(dammar)」と、フィリピンやマレーシアなどの熱帯に生息するカンラン科の植物「エレミ(elemi)」から採取される樹脂だ。

研究者らは、これらがミイラをつくる目的で他地域から材料を取り寄せていたのではないかと推測する。

“エキゾチック”なものを好んだであろう古代エジプト人たちが、当時からグローバルな貿易をしていたことの表れのひとつかもしれない。

Top image: © iStock.com/KenWiedemann
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