風が吹くたびに、1600年前のイギリスにタイムスリップできるアート。
何年も前に聞いていた音楽を久しぶりに耳にすると、ふと当時の思い出が蘇ってきたりします。視覚や嗅覚と同様、聴覚にも記憶と結びつく不思議な力があるのかもしれません。
さて、イギリスのとある街に出現した「CAVALRY 360°」は、そんな力を利用したインスタレーションです。
目を閉じて耳をすませば
そこには駆け回る馬の姿
この円形の作品は、馬が歩くときに発する音を奏でます。仕組みは、先の丸い部分が風をとらえて風車のように回るたびに蹄の音を出す、というもの。
製作者Mark Nixonは、訪れた人にぜひインスタレーションの中に入って欲しいと言います。目を閉じれば、馬が駆け回る様子が思い浮かぶから。
Markがこの作品を手がけた理由には、リアルな歴史を感じてもらいたいという想いがありました。
このインスタレーションが設置された「Chesters Roman Fort」は、1600年前に建てられた古代遺跡。かつて、ここでは多くの人が暮らしていたようです。生活水準は高く、戦士たちが休める浴槽があったというほど。そんな彼らの足となっていたのが、500頭以上の馬。
今は静かでも、当時は人と馬の活気であふれた場所だったはず。しかし、文字だけで歴史を伝えるのは難しい、と彼は考えたそう。そこで思いついたアイデアが、蹄の音を奏でることで当時の情景を蘇らせることでした。
Markは言います。
「Cavalry 360°は、観光客に新たな形で歴史を見せることができます。ちょっと変わった方法をお楽しみください」
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