「ムダ毛があって何が悪いの?」の答えは、古代ローマ人に聞くべし

ムダ毛はない方がいい──というステレオタイプはいつ生じたのだろうか?

最近はどこをみても美容脱毛の広告が目に入る。今や脱毛は世代や性別を問わなくなり、処理をする体の部位も広がっている。それに合わせて技術も発展したことで、照射に伴う痛みの軽減や美肌効果の追加など、人類の“脱毛活動”は最盛期に至っている。と言えるのではないだろうか。

古代ローマ人の懸命な脱毛活動

では、遥かむかしはどうだったのか?

じつは、3000年ほど前の古代ローマ人も我々のように体毛のない外見を好み、痛みを伴う脱毛活動をしていたことが「New English Heritage Museum」の考古学者によって明らかにされた。

イギリス北西部の都市バーミンガムからほど近い、シュロップシャー州にある古代ローマ遺跡「ロクセター ローマン シティ」を発掘中、集落の跡から50本を超えるピンセット(毛抜き)と思われる遺物を発見。どうやら脱毛に用いられていたものと見られている。

映画『テルマエ・ロマエ』でも見受けられるように、古代ローマ人は共同浴場に入る習慣があり、その一環で脱毛活動が行われていたのではないだろうか。

というのも彼らは「野蛮人」との区別を図る意味合いで男女関係なくきれいに体毛を手入れした外見を意識していたようで、しかもその処理はピンセットによるものだったと専門らは見ている。

ただ、ピンセットを用いて毛を1本1本抜くということがどれほど痛みが伴い、労力がいる作業だったかは、想像に難くない。学者らの見解では、こうした毛抜き作業はおもに奴隷によって行われることが多かったそうだ。

© European Association of Archaeologists/Twitter

「毛がない方が良い」というステレオタイプ

人間の美意識は時代と共に変化している。日本においても、平安時代の「美人」の定義はふくよかな体型に細い目で、現代人の考えるそれとは程遠い。対照的に、人類の「ムダ毛」に対する美意識は、数千年経ったいまでも変わっていないというのは驚きだ。

生き方の多様性や美の多様性が積極的に問われる現代において、脇毛を染めたり、陰毛を編み込んだり「ムダ毛」に対する美意識は変化しつつある。

何年も続いていたムダ毛のステレオタイプが崩されるときは近いのでは? もしかしたら「ムダ毛」という言葉すらもう時代遅れなのかもしれない──。

 

Top image: © iStock.com/Grafissimo
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