史上初、ショートヘアのミス・フランス誕生が論争を呼んだワケ
100年の歴史を誇るフランスのミスコンで、初めてショートヘアのミスフランスが誕生したという昨年12月のニュースは記憶に新しいところ。
大学生(20)のイヴ・ジルさん。映画『ジャンヌ・ダルク』で主演を務めたミラ・ジョヴォビッチよろしく、彼女は「強い女性の価値を守る」ことを意識したそうで、中性的な容姿で出場することを決意したそうだ。
結果は周知の通り。優勝決定後、コメントを求められた彼女は世界に向けてこうメッセージを残した。
「あなたがどのような人でも、それについて他の誰かの指図を受けるべきではありません」。
“多様性の象徴”とも捉えられるジルさんの勝利。だが、コンテスト終了と同時に、SNS上では彼女の体型や髪型に対する批判が溢れた。なかには、ミスコン優勝がwoke文化の影響を受けているとのコメントも。
「woke」とは直訳すれば「目覚めた」となるこのワード、昨今では社会的正義や人種差別、環境問題などに配慮する“意識お高めなヤツら”といったスラングとして使われている。
真に強い女性の「価値」とは……?
多様性が求められる今日の社会のあり方に合わせ、これまでにミス・フランスも厳格な応募条件を撤廃するなど、D&Iへの意識を取り入れたルール改正に力を注いできた。
例を挙げれば、24歳までだった年齢制限の廃止。タトゥーの許可。既婚者や母でのエントリーも認められるようになった。さらに2019年からはトランスジェンダーの出場も可能となっている。
けれど、蓋を開けてみれば、昨年のミス・フランス出場者も例年と変わらず均質的だったという。そうしたなかで、ジルさんのショートヘアはセンセーショナルでもあったろうし、アヴァンギャルドだったに違いない。
ミス選出から一転、SNSでの誹謗中傷。光芒一閃とはまさにこのこと。ジルさんの心境は推して知るべしだが……ミス・フランス2024は、エントリー時の「強い女性の価値を守る」という信念を貫いているようだ。
最後に「Euronews」から彼女のメッセージを拝借しご紹介したい。
女性にはみな多様性があります。等しく美しく、みんな違ってユニークだということをお伝えしたい。私の髪がショートだから個性的なのではなく、イヴ・ジルだから個性的なんです。