今後、アメリカでツアーできるのは「ビッグアーティスト」だけになるかもしれない件
アメリカツアーは、夢のまた夢に……?
「ABCニュース」が報じたところによると、米国市民権・移民局(CSCIS)は、アメリカでのツアーを希望するミュージシャンに対して、今年4月からビザ料金を250%引き上げたことを発表した。
4月以前のビザ申請費用は1人あたり460ドル(約7万円)であったため、1615ドル(約25万円)に引き上げられるのは相当な痛手になるはずだ。
ましてや、バンド編成のグループが平均4人と考えた場合、ビザ申請にかかる総額は約6460ドル(約100万円)。これに上乗せして、サポートスタッフやバックバンドのビザも必要ということを考えると……。
通常、何ヵ月も要する承認期間を待ちきれない場合は、2805ドル(約43万円)追加すれば迅速に対応してくれるとのこと。また、申請が受理されなかったり、ツアーの計画が途中で頓挫した場合であっても、返金対応は一切行われないという。
止まらない“ビッグアーティスト優遇”
大変なのは、資金繰りだけではない。
ビザの申請プロセスにおいては、ツアーの旅程に加えてビザの申請プロセスにおいては、ツアーの旅程に加えてミュージシャンとしてのキャリアや地位を証明するためのニュースの切り抜きや、他の著名ミュージシャンからの証言を提示する必要があるとのこと。
これ、お気づきかもしれないが、つまるところ今後国外からアメリカに渡ってツアーを行えるのは、ビッグアーティストのみに絞られてしまうってことでは?
同紙は今回の値上げに対する要因をいくつか挙げており、その中でも最大は「入国管理局の厳密化」であると。
20年前はわずか2〜3ページであった記入必須の申請書は、現在15〜20ページに増えており、それに加えてバンドがアメリカツアーを行う必要性についても200〜300ページにも及ぶ書類を提出する必要があるそうだ。
ここまで徹底した管理の強化には、前トランプ政権下による「移民対策」の影響も。ツアーという特定の活動のために来ているアーティストらが、活動以外に悪事を働かぬよう、できる限り制限したいという思惑も透けて見える。
今回の変更により、若手アーティストやインディーバンドがアメリカで花を咲かせるには、かなりハードルが上がったと言わざるを得ないだろう。名高いビッグアーティストは訳なく申請を済ませ、今後もツアーを続けていくだろうに。
文化の発展に貢献してきたアメリカだからこそ、“若い芽”にも目を向けてほしいものだ。