今後、世界を牽引するかもしれない「コロラド州デンバーのビアカルチャー」をレポート

「コロラド州デンバー」と聞いて、何をイメージしますか? 雄大な自然? かわいいレンガ造りの建物と恵まれた気候? どれもデンバーという街を構成する重要な要素ではありますが、今、世界中から注目を浴びるデンバーの魅力──それは、ビールとそれを取り巻くユニークなビアカルチャーなんです。

全米1位のビール生産量を誇る
都市を取り巻く「ビアカルチャー」

コロラド州の中北部、ロッキー山脈の東麓に位置する都市・デンバーは、州都であり、このエリア一帯の政治や経済、カルチャーの中心地。

アメリカでは「全米で住みやすい都市」の第2位に選ばれ、「第二のポートランド」とも呼ばれています。

住みよいとされる理由はいくつかありますが、その大きな理由のひとつが安定した経済。

畜産をはじめとした農業が盛んなだけでなく、デンバー市17番街の金融街は「西のウォールストリート」と呼ばれるビジネス街であり、また、近年はテック系やバイオ系のベンチャー企業や研究所が増えて「シリコンマウンテン」という呼び名もあるほど。

また、MBL(ベースボール)、NBA(バスケットボール)、NHL(アイスホッケー)、NFL(フットボール)の4大メジャースポーツのチームが本拠地を構えており、一年を通じて観戦を楽しめるのも魅力。スポーツ好きにはたまらない都市といえるのです。

©2019 NEW STANDARD

年間300日は晴れるとされる天候も、住みやすいといわれる理由のひとつ。

ロッキー山脈が近く、都会的な風景だけでなく大自然も満喫できることから、アウトドア愛好家からの人気も高い街です。

そして、近年、デンバーが世界中から急激に注目を集めている理由が、ロッキー山脈から流れ出る雪解け水や湧水を使った「お酒」にあります。

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あまり知られていないかもしれませんが、デンバーはビール生産量で全米ナンバー1を誇る都市です。

日本でもお馴染みの「クアーズ(Coors)」が本拠地を構える一方、小規模なブルワリーも数多く存在し、最近ではワインの生産量が多いナパバレーに例えて「ビールのナパバレー」などとも呼ばれているのだとか。

ブルワリーが増えはじめたのは、今から20年ほど前。

水質のいいロッキー山脈の湧き水や雪解け水を求めて、若いビール職人たちが集まりはじめたのがきっかけです。その後、ブルワリーを併設したパブ、通称「ブルーパブ」の数も徐々に増えていき、今ではデンバー名物のひとつになりました。

至るところでクラフトビールが楽しめるデンバーのなかでも、まず足を運んでみてほしいのが、この街随一の観光スポットである「ユニオン駅」。

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ユニオン駅は、100年以上の歴史をもつ建造物。以前は建物の劣化が激しく、周辺も廃れていたのですが、建築保護開発者であるダナ・クロフォードという女性が先頭に立ち、2014年に改装されたのだとか。

ちなみに、併設されているホテルは、彼女の名を冠して「クロフォードホテル」と名付けられています。

このスポットは鉄道だけでなくバスターミナルも設置されている交通の要で、レストランやバー、休憩エリアなどを備える市民の憩いの場でもあります。

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ユニオン駅構内でもとくに高い人気を誇る「ターミナルバー」。

30種類以上のビールが楽しめるこのお店は、かつての鉄道のチケット売り場を改装したもので、カウンターには今でも「TICKETS」と書かれた案内板が掲げられています。

好みのビールを選んだら、バーのまえにある公共スペースへ。仕事をしたり読書をしたり、思い思いの時間を過ごす地元の人に交じって飲む一杯は、旅の素敵な思い出になるはずです。

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ユニオン駅にはターミナルバー以外にもバーが存在します。それが「クーパー ラウンジ」。

ユニオン駅の中二階(※取材時は改装中のため駅ビル内)にあるこのお店では、地元のワインやスパークリング、ウォッカなどが楽しめます。ビール以外を楽しみたいときには、こちらのバーもおすすめです。

「ブルーパブ」から生まれる
新たなビール文化と流行

デンバーは人気スポットのあるダウンタウンがコンパクトにまとまっているのもいいところのひとつ。

「16番ストリートモール」「ローアーダウンタウン」「ラリマースクエア」といった定番の観光地もユニオン駅から歩いていける距離に存在するので、酔い覚ましに散歩をしてみるのもいいでしょう。

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ラリマースクエアの歴史は古く、1958年のゴールドラッシュの時代までさかのぼります。

一時期は廃れてしまったのですが、開発当時の建物をうまく活用することで再び注目を浴び、古き良きアメリカの雰囲気と現代的でおしゃれなショップやレストランがうまく融合した、独特の趣をもった街並みになっています。

また、ローアーダウンタウンも古い建物や倉庫をリノベーションして復活した再開発地域です。

ちなみに、ラリマースクエアとローアーダウンタウンの再開発にも、ユニオン駅と同様、ダナ・クロフォードが関わっているのだとか。

これらの地区は、デンバーのナイトライフの中心地でもあり、ブルーパブも数多く存在するエリア。

なかでも必ず押さえておきたいのが、デンバー最古のブルワリー「ウィンクープ・ブリューイングカンパニー(Wynkoop Brewing Co.)」です。“最古”といっても、創業したのは1988年。デンバーのブルワリーやブルーパブはここ30年ほどの文化であり、これからのブームが期待される注目のカルチャーなのです。

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「ウィンクープ・ブリューイングカンパニー」の共同オーナーであるジョン・ヒッケンルーパーはデンバー市長やコロラド州知事を歴任。来年の米大統領選の民主党候補指名争いにも出馬表明している人物です。

このお店にはオバマ前大統領も訪れたことがあり、その際にオーダーしたのは看板商品である「Rail yard」。豊かな香りと苦味、そして濃い味わいが特徴のエールビールです。

そんな人気の一杯に合わせたいおつまみは名物の「ロッキーマウンテン・オイスター」。オイスターとはいっても牡蠣(カキ)ではなく、じつは牛の睾丸を使った唐揚げのようなメニューです。

ほかにも、牛の睾丸を原料にした「ロッキーマウンテン・オイスター・スタウト」といったユニークなビールもラインナップされているので、話のネタに一杯いかがですか?

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デンバーに数多く存在するブルーパブ。自らの嗅覚を頼りに飛び込んでみるのも一興ですが、小冊子「デンバー ビア トレイル」を活用するのもおすすめです。

ビジターセンターで入手可能で、デンバー観光局とコロラド醸造所組合などがセレクトした37軒が記載されています。

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小冊子に載っているお店のなかでも、観光客だけでなく地元の人たちからも強い支持を受けているのが「ブラック シャツ ブルーイング」です。

ここでは、12種類あるビールのなかから8種類を選んで飲み比べができるメニューが提供されており、IPAやペールエール、ピルスナー、セゾン、スタウトなど、さまざまな味や香りを同時に楽しむことができます。

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「ブラック シャツ ブルーイング」がある地区「リバー ノース アート ディストリクト」、通称「リノ(RiNo)」は、デンバーのなかでも若者が多く集まるエリアなのですが、感度の高い若者たちの間で話題になっているお店があります。

その名も「コロラドサケカンパニー」。

店名の通り、扱っているのはビールではなく日本酒です。

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300年以上の歴史をもつ愛媛の蔵元「千代の亀酒造」に教えを乞うたというオーナーが手がける日本酒は、麹米にはカリフォルニアで栽培されている山田錦を、掛米にはコシヒカリを使用しています。

ここでしか味わえない日本酒を試してみたいなら、バニラやシナモンのフレーバーを加えた日本酒「ホチャッタ ニゴリ」はいかがでしょうか?

日本酒にこだわりのある人は抵抗を感じるかもしれませんが、味は決してわるくなく、なによりも日本酒に香りをブレンドするという斬新な発想に驚かされるはずです。

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フォトジェニックな街並み、ここでしか味わえないグルメやさまざまな観光スポット、そして独自の進化を遂げるビアカルチャーなど、じつに多くのトピックで彩られた街・デンバー──。

10月には、世界中のビールファンが一度は訪れてみたいと夢見る、世界最大級のビールの祭典「グレートアメリカンビアフェスティバル」が開催されます。

日本からデンバー国際空港には直行便も就航しているので、ビールカルチャーの“最先端”を体感したいなら一度足を運んでみてはいかがでしょうか。

Top image: © 2019 NEW STANDARD

取材協力/コロラド州観光局・デンバー市観光局

written by Tsukasa Sasabayashi

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