アメリカが誇るラグジュアリーホテルの頂点「ザ・ブロードモア」

「人生で一度は泊まってみたい五つ星ホテル」──。そう聞くと外資系のハイブランドホテルを想像するかもしれません。しかし、ハイブランドホテルが乱立した今だからこそ注目したいのが、独立系で歴史あるラグジュアリーホテルです。“本物のセレブ”が愛するオーセンティックなホテルの魅力、気になりませんか?

五つ星を獲得し続ける
正真正銘のラグジュアリーホテル

巷でよく聞く“五つ星ホテル”。いつかは泊まってみたいと思っている人も多いことでしょう。じつはこの格付け、いくつかの組織がそれぞれ評価していることを知っていましたか?

有名なのは、アメリカなら「フォーブストラベルガイド」や「全米自動車協会」、ヨーロッパならレストランでも有名な「ミシュラン」といったところです。いわゆる五つ星は、フォーブストラベルガイドの最高格付けであり、全米保険協会はファイブダイヤモンド、ミシュランは5パビリオンと表しています。

そんな格付けのうち、五つ星と5ダイヤモンドの評価が開始されたときから、つねに最高位を獲得し続けているホテルがあります。

コロラド州2番目の都市、コロラドスプリングスにある「ザ・ブロードモア」です。

©2019 NEW STANDARD

ザ・ブロードモアがあるコロラドスプリングスは、ロッキー山脈に属する山・パイクスピークの山麓に位置します。

パイクスピークは標高4301mで、アメリカでもっとも有名な山のひとつ。「インディ500」に次ぐ歴史を持つ自動車と二輪車のレース「パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム」や、山頂まで延びる「パイクス・ピーク・コグ鉄道」が有名です。

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また、赤い奇岩で有名な「ガーデン・オブ・ザ・ゴッズ」も定番スポット。

ネイティブアメリカン由来の地で、アースデーにはネイティブアメリカンのダンサーが踊りを捧げているのだとか。現地ではスピリチュアルな推し出し方はしていませんが、その地質はパワースポットとして有名なセドナと同じとのこと。

霊的なエネルギーを感じやすい人なら、何か“特別な力”の存在に気づくことができるかもしれません。

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「ナショナルジオグラフィック」が紹介する“世界の滝のひとつ”に選ばれた「セブンフォールズ」も見逃せないスポット。

1880年代から観光地として一般に公開されており、コロラドスプリングスのなかでももっとも歴史のある景勝地のひとつです。現在は、ザ・ブロードモアが整備・運営をおこなっており、ホテルからシャトルバスでいくことが可能です。

ほかにも、オリンピック関連施設なども人気の観光地。ちなみに、コロラドスプリングスは「オリンピックトレーニングセンター」のほか、20種目以上のオリンピック競技連盟、および50種目以上の競技連盟が本部を置いており「Olympic City USA」と呼ばれているそうです。

そんな多彩な魅力を持つコロラドスプリングスにザ・ブロードモアが創業したのは1918年のこと。

シャイアン湖と呼ばれる湖を囲むように「ブロードモアメイン」「ブロードモアサウス」「ブロードモアウエスト」といった建物が立ち並んでいます。

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リゾート全体の敷地面積は1200万平米にも及び、部屋数はなんと784。

10のレストランと10のラウンジ・カフェ、26のブティック、高級スパ、そして全米オープンも開催されたゴルフコースを有する、全米屈指のラグジュアリーリゾートホテルは、ホテルでの滞在そのものを目的とした、いわゆる“デスティネーション型ホテル”の走りともいえる構成です。

ロングバケーションを過ごす場所として、歴代アメリカ大統領や数々のセレブにも愛されてきました。

“本物”だけがまとう
荘厳さと気品ある佇まい

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設計は、NYのグランドセントラル駅を手掛けたことでも有名なウォレン&ウェットモア建築事務所が担当。

イタリアン・ルネッサンス様式を取り入れた内外装には、細部にまでさまざまな細工が施され、荘厳な佇まいを演出しています。

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内装は、きらびやかな最新のハイブランドホテルに比べるとオーセンティックな印象。

しかしそれは、歴史の深みを感じさせる重厚さと、本物が持つ気品を醸し出しているということ。パブリックスペースは、さながらヨーロッパの宮殿のようです。

至るところに配されたシャンデリアひとつとっても、ため息がこぼれる贅沢さです。

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施設内に設置された図書室は、まるで貴族のお屋敷にある書庫のような佇まい。こんなところでゆったりと本を読めるなんて、究極の贅沢です。

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贅沢なのは、プールも同じ。まるでシャイアン湖の一部のようにデザインされたインフィニティプールは、海の景観を取り込む一般的なそれとは一味違う趣があります。

また、アクティビティではゴルフ場も秀逸。3つあるゴルフ場のひとつは、帝王ジャック・ニクラスがプロデュースを手掛けています。ゴルフ好きにとっては、ここでプレーするだけでも、ザ・ブロードモアに泊まった甲斐があるというものです。

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肝心のお部屋ですが、748室もあるので、コテージやスイートなどタイプはさまざま。オーソドックスなタイプの部屋であっても、キングサイズやクイーンサイズのベッド、高級な調度品、そして、窓から望む山々や湖といった最高の眺望と贅沢さにあふれています。

セレブの舌をうならせる
美食揃いのレストラン

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ラグジュアリーリゾートホテルであるザ・ブロードモア。もちろん、ダイニングもセレブを満足させる一級品揃い。

なかでも、ぜひ訪れて欲しいレストランが「La Taverne(ラ・タベルヌ)」。

アメリカの伝統的なステーキハウスながら、ロブスターやカキ、シュリンプなどの新鮮な海鮮も名物です。

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おすすめのレストランはほかにも。「サミット」は、南部ルイジアナ州出身のシェフが伝統的なアメリカ料理をベースに、フレンチやインド料理などの要素を活かして現代的なアレンジを加えた、ここでしか味わえない一皿を揃えた名店です。

コロラド州では定番のラム肉にも、南米スペイン語圏で使われるソースの一種・チミチュリを加えたアレンジが施されています。

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また、ワタリガニとブリーチーズのスープも絶品。

日本でアメリカ料理というとハンバーガーやピザ、ステーキグリルなどを想像しますが、セレブが愛する現代のアメリカ料理は、さまざまなフードカルチャーがミックスされたユニークで斬新なものなんです。

そして、10あるレストランのなかでも“最高峰”とされているのが、ホテルの創業者の名を冠した「ペンローズルーム」です。

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コロラド州で唯一「フォーブス」の五つ星とAAAのファイブダイヤモンドの両方を獲得。料理やワインの質はもちろんのこと、毎夜繰り広げられるショーも見応え十分です。

「ファミリーシップ」こそが
支持され続ける本当の理由

内・外装のゴージャスさや充実した料理、そして一流のゴルフ場など、目に見える豪華さばかりに圧倒されてしまうザ・ブロードモアですが、それだけで五つ星、ファイブダイヤモンドをとり続けることはできません。

本物の富裕層が認めるラグジュアリーは、突き詰めると「人」にあります。

ザ・ブロードモアをはじめとする独立系のラグジュアリーリゾートホテルは、祖父母、父母、子が代々定宿としており、バカンスではファミリー全員で訪れますことが珍しくありません。子どものころから数十年にわたって通い詰めているというゲストも多いのです。

そんな理由から、スタッフはゲストを“主人”としてではなく、むしろ大事な“家族”をもてなすように接してくれます。

それは、ザ・ブロードモアが「スタッフは従業員ではなくゲストのファミリーの一員である」という理念を掲げているからなのです。

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ファミリーシップを大切にした接客を実現するために、ザ・ブロードモアでは、スキルの高さで採用を決めることはないといいます。重要なのは、人柄。

ホテルの関係者は「スキルは学べば向上しますが、生まれ持っての性質を一朝一夕で変えることは難しい」と語ります。また「五つ星もファイブダイヤモンドも、スタッフが自らの判断でブロードモアらしい接客をした結果として勝手についてきたもの」とも……。

この言葉こそ、高いレーティングを誇るラグジュアリーホテルの本質なのかもしれません。

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外資系のハイブランドホテルブームが一巡した今だからこそ、日本でも注目されるかもしれない、独立系のラグジュアリーリゾートホテル。

今後、IR法案の通過によって複合的な観光施設が増えることが予想される日本ですが、来るべき流行を先取りしたいなら、まずは本物のアメリカンラグジュアリーホテルの本質を体験するために、足を運んでみてはいかがですか。

Top image: © 2019 NEW STANDARD

取材協力/コロラド州観光局

written by Tsukasa Sasabayashi

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