GAFAM時代の終焉。「NVIDIA」時価総額で世界最高に

「AI時代の王者」が決定した瞬間だった──。

6月18日のニューヨーク株式市場にて、人工知能向け半導体メーカー「NVIDIA」の時価総額が3兆3400億ドル(日本円にして約530兆円)を記録。「Microsoft」、「Apple」を押さえ、世界でもっとも価値のある企業となった。

AIが促した首位交代

「NVDIA」は1993年に設立された、ビッグデータなどを処理するGPU(画像処理半導体)を開発する会社。人工知能の黎明期である2010年代半ばから、PC用に開発していたGPUを、AIの演算処理用として販売しはじめた。その後、生成AI「Chat GPT」がデビューし、需要の高まりから業績は急上昇。2024年の2月〜4月期決算は売上高が前年同期比3.6倍、最終利益は7.3倍を更新するなど、いずれも過去最高を更新した。

世界シェアの8割を独占
他を追従させない技術力

誰もが知るメガIT企業をも凌ぐ「NVIDIA」の急拡大。可能にさせたのは、AI需要の高まりや、鋭い先見力だけではない。

「NVIDIA」の最大の強みは圧倒的な技術力の高さにある。同社は製造を他者に委託し、技術開発に注力する「ファブレス半導体メーカー」という体制をとっていて、これにより競合他社が到底追いつけないスピードで半導体環境の充実をすすめているのだとか。

他を追従させない技術力への評価は数字にも如実に表れており、現在先端半導体の分野で、「NVIDIA」の世界シェアは約8割に上るとされる。

大転換を迎えるIT業界

ここ10年、時価総額世界トップの座は「GAFAM(Google・Amazon・Facebook(現Meta社)・Apple・Microsoft)」と呼ばれる巨大IT企業によって独占されてきたが、今後は「NVIDIA」、「Apple」、「Microsoft」の3社が時価総額4兆ドルを目指す争いが繰り広げられるとの見込みだ。

AIを制すものはIT業界を、そして世界を制す―――。AIの台頭とともに、IT業界の勢力図は着実に、そして急速に変わりつつあるようだ。

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TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。