Z世代のスラングをAIで解読。オーストラリア警察が性犯罪捜査の新技術を試験導入

オーストラリア連邦警察(AFP)が、オンライン上の性犯罪者らが使用する絵文字やスラングを解読するため、AIツールの開発を進めている。

Microsoftと協力して作成されたこのプロトタイプは、暗号化されたメッセージやチャットグループ内で交わされる、Z世代やアルファ世代特有の言葉を解釈することを目指しているという。

デジタルネイティブの言葉の壁

AFPのKrissy Barrett長官は、「このプロトタイプは、チームがより早く子供たちを危害から救い出すことを目的としています」と述べる。

1990年代後半以降に生まれたZ世代とアルファ世代は、SNSやスマホと共に育った初の完全なデジタルネイティブ世代。

彼らが使う独自の言い回しや絵文字の意味を正確に理解することは、従来の捜査手法では困難な場合があった。

このAIツールは、そうした言葉の壁を乗り越え、犯罪の兆候を早期に検知する可能性があると期待されている。

「クライムフルエンサー」という新たな脅威

警察が警戒するのは、暴力や搾取を美化する「分散型オンライン犯罪ネットワーク」の存在だ。

Barrett長官は彼らを「クライムフルエンサー(犯罪を助長するインフルエンサー的な存在)」と呼び、無政府状態や他者を傷つけることに動機づけられていると指摘する。

これらのネットワークでは、加害者が被害者をグルーミング(手懐け)し、自傷行為や暴力行為を強要するケースも確認されているという。

加害者の多くは英語圏の若い男性で、自己肯定感の低い少女たちがターゲットになりやすい傾向があるようだ。

技術の進歩には、国全体での対応が必要

AFPはすでに59人の容疑者を特定し、国内外で逮捕者を出している。

Barrett長官は、犯罪者がスラングや絵文字を悪用して虐待行為を隠蔽していると警告し、保護者に対して子供のオンライン活動により深く関与するよう求めた。

「かつては子供を育てるのに村が必要だと言われましたが、技術の進歩により、今では彼らを守るために国全体の力が必要になっています」と語る。

オーストラリアでは、12月10日から16歳未満のSNS利用を制限する新たな規制も施行される予定で、国を挙げて子供のオンライン安全対策に取り組む姿勢が鮮明になっている。

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