ハマる人続出!Z世代の間で「刺繍」がアツい

ぷつん、すーっ、きゅっ……。

リズムに合わせてひたすら針で布をつくと、いつの間にか華やかな模様が現れる。最近、Z世代の間で「刺繍」がキているのをご存知だろうか。

Instagramで「#embroidery(刺繍)」と検索すると、2800万件以上の投稿がヒット。

例えば、「刺繍をはじめるサイン」というキャプションとともに投稿されたこちらのリールは、2600万回もの再生数を誇る。コメント欄には「キットを買った」「はじめてみたい」といった声が、ハートの絵文字とともに溢れかえっている。

© fredi_boldt/Instagram

日本でも、TikTokに「本気で刺繍をする高校生」も登場。

国内外の多様な層のZ世代がドハマりしているようだが、いったい何に惹かれているのだろう?

© sneakers_embroidery/TikTok

求めているのは「イマーシブ」な体験

キーワードは「没入感」。

自我を忘れてひたすら針と糸に向き合う時間は、いわばメディテーション。普段大量の情報に晒されるZ世代だが、このときだけは全てをシャットアウトし、「今ここ」に没入できるのだ。

また、糸を通すにつれて模様が出来上がっていく様子もかなりの快感で、SNS上の動画を見ているだけでもリラックス効果を感じられる。ASMR的な要素もあり、つい時間を忘れて見入ってしまうだろう(この場合、上記の“大量の情報に晒される”状況を脱せられているか微妙だが)。

加えて、模様作りの傍らにほつれや綻びを直せるなど、お気に入りの服をさらに長く、可愛く着ることができるのも刺繍の魅力。

オンリーワンでサステイナブル、そしてメンタルも整う……自分も地球もいたわりたいZ世代にとって、刺繍はまさに求めていたアクティビティ、というわけだ。

あのブランドの春夏コレクションにも

Z世代の刺繍ブームの波は、ファッション業界にも。

あの「LOEWE(ロエベ)」が、2024年の春コレクションで京都を拠点に活動するアーティストのスナ・フジタとコラボレ―ション。

ユニークなアーティストの世界観を刺繍で表現し、ブランドが誇る上質なバッグやアクセサリーには愛らしいキャラクターたちが。

ハイブランドにエンブロイダリーが登場するのは珍しいことでは無いが、手縫いの温もりを感じさせる本コレクションは、特にZ世代のトレンドと呼応するものと言えるだろう。

クオリティと芸術性、遊び心が合わったアイテムの数々は、見る者の心をあたたかく彩るだろう。

© loewe/Instagram

婦人や乙女だけじゃない。
アツすぎる「Z世代の手芸」

刺繍に加え、かぎ針を使った編み物等、手芸全体も引き続き人気な様子。

Instagramには「#knittingaddict (手芸中毒)」というハッシュタグも登場し、400万件近くもの投稿が寄せられている。

手編みのマフラーや手拭いなんて、恋にときめく乙女か、寛大なご婦人の専売特許のようなイメージを持つ人が多いだろう。でも、いまや若者の心は温故知新。手芸は、世界で一つのものづくりに没頭する“究極のミー・タイム”となっているようだ。

溢れかえるモノや情報に疲れを感じている……そんなあなたのQOLも、手芸が上げてくれるかもしれない。

Top image: © iStock.com/enigma_images
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