次世代食トレンドは「ニュー・レトロ」に注目!
世界の食トレンドを左右すると言われるZ世代。彼らは、ただ新しいものだけでなく、どこか懐かしく、それでいて新鮮な感覚を刺激する「体験」を求めているようだ。
米国メディア「Restaurant Dive」の最新レポートは、そんなZ世代の心を掴むキーワードとして「ニュー・レトロ」フードを掲げている。これは、単なる懐古主義とは一線を画す、新旧の価値観が融合した、まさに現代ならではの食の潮流と言えるだろう。
「12%の真実」
Z世代は本当に新しいもの好き?
Z世代は、常に新しいものを追い求めるイノベーターというイメージは、もはや過去のものかもしれない。市場調査会社「Technomic」のRobert Byrne氏は「Z世代のわずか12%だけが、積極的に新しい味を探求している」と指摘している。この数字は、彼らが必ずしも奇抜な味を求めているのではなく、慣れ親しんだ味の延長線上に、ほんの少しの新しさを求めていることを示唆しているのではないだろうか。
例えば、近年再燃しているチュロブーム。「J&J Snack Foods」によると前四半期で、チュロの売上が27%以上増加したらしい。伝統的な揚げ菓子であるチュロは、フレーバーやトッピングのバリエーションが増え、現代風にアレンジされることで新たな魅力となってZの胃袋を刺激しているのかもしれない。
「時間」と「場所」を超越した食体験
スマートフォンやSNSが生活の一部となったZ世代にとって、「時間」と「場所」は、もはや固定概念ではない。彼らは、移動中や仕事の合間にもシームレスに食事を楽しんでいるようで、Z世代の半数以上が、忙しい毎日を乗り切るために飲食店を利用しているとも。
これは、従来の「レストラン=特別な日のための場所」という概念を覆すもの。彼らにとって、飲食店は、生活の一部として、よりカジュアルに利用できる存在へと変化しているようだ。片手で食べられるスナックや、持ち運びやすいドリンクが支持を集めているのも、こうした背景があるからだろう。
「エモさ」を演出する空間作り
五感を刺激する体験を提供
これらの事例から浮かび上がるのは、Z世代にとって「食」は単なる栄養補給ではなく、感情を揺さぶる体験であるということ。飲食業界でもこうしたトレンドを捉え、斬新なアイデアとノスタルジックな要素を融合させることで、心を掴もうと試行錯誤を繰り返している。
例えば、レトロなカフェを改装してノスタルジックな雰囲気を演出しながら、斬新なフレーバーのドリンクやスイーツを提供したり、懐かしのアニメやゲームとコラボレーションしたメニューを開発したりといった施策が登場している。
大切なのは、視覚だけでなく、聴覚、味覚、嗅覚など五感を刺激し、記憶に残る「エモい」体験を提供することなのだろう。若い世代の心を掴み、特別な空間を共有できる機会の創出、それこそがニュー・レトロが切り拓く食の未来なのかもしれない。。
👀 GenZ's Eye 👀
「慣れ親しんだ味の延長線上に、ほんの少しの新しさを求めている」この一文はまさに、大冒険したいわけではないけど、ちょっとだけ背伸びしたい──。そんな私たちZ世代のちっぽけな見栄をうまく表現しているような気がします。