あなたの言葉、Z世代にどう響く。退職データから生まれたAIコーチ登場

若手社員の早期離職が、多くの企業にとって喫緊の課題となっている。

その背景には、世代間の価値観の違いから生まれるコミュニケーションギャップが存在するようだ。この根深い問題に対し、退職代行サービスと学生向けSNSという、異色の組み合わせから生まれたAIツールが解決策を提示するかもしれない。

退職理由3万件から生まれた、管理職向けAIコーチ

退職代行サービス「退職代行モームリ」を運営するアルバトロスと、大学生向けSNS「Penmark」を手掛けるペンマークが業務提携を発表。両社が共同開発したのが、管理職向けのAIコミュニケーションツール『コミュトレZ』だ。

2025年7月1日から提供が開始されるこのツールは、管理職が部下への指示やメッセージを入力すると、AIがその内容をZ世代の価値観に基づいて多角的に診断し、スコア化するというもの。

© 株式会社アルバトロス

大卒就職者の3人に1人が3年以内に離職するというデータもある現在、若手社員の定着は企業にとって大きな課題となっている。

ペンマークの調査によると、若手社員は上司の「高圧的な態度」や「感情的な言動」を敬遠する傾向が強いという。

一方で管理職からは、「具体的にどんな言葉で伝えれば良いのか」という切実な声が上がっており、両者の間には深い溝が存在する。

このギャップを埋めるのが、『コミュトレZ』の根幹をなす、アルバトロスが「退職代行モームリ」で蓄積した累計3万件以上のリアルな退職相談データ。

個人が特定できないよう完全に匿名加工されたこの膨大なテキストデータをAIに学習させることで、現場のリアルな課題に応えるツールが誕生したようだ。

あなたの言葉が招く、未来のリスクを可視化する

本ツールの主な機能は、メッセージの診断・スコアリング。

入力されたメッセージがZ世代にどう受け取られるか、その適切度を客観的な数値で把握できる仕組みだ。さらに、「共感度」「自律尊重度」「心理的安全性」といった6つの指標で詳細に分析し、AIが具体的な改善ポイントと最適な言い換え例まで提案する。

特にユニークなのが、入力されたメッセージと類似のコミュニケーションが原因で実際に退職に至ったケース(匿名加工済み)を提示する機能。

これにより、管理職は自らの言動が招きうるリスクを、よりリアルに理解することができるかもしれない。料金は、月間20通まで無料で診断できるフリープランも用意されている。

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「退職代行のいらない社会」へ

アルバトロスの代表取締役、谷本慎二氏はプレスリリースの中で、「『退職代行の必要ない社会』を目指している」とコメント。

一方、ペンマークの代表取締役である横山直明氏は、「『コミュトレZ』が、世代間の架け橋となり、すべての人が尊重され、成長できる職場環境の一助となることを願っています」と語る。

両社は今後、採用ブランディングや管理職向けのオンライン研修など、Z世代の採用から定着までを一気通貫で支援するソリューション開発にも着手する予定だという。

この異色のタッグが、日本の職場環境にどのような変化をもたらすのか、その動向が注目される。

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【サービスサイトURL】
https://z.penmark.jp/commutore

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