匿名で24時間相談できるAIキャリアアドバイザー「灯野マナ」登場

「転職ありきで話が進むのが嫌だ」「気軽に相談したいが、対面は抵抗がある」。

Z世代がキャリアについて向き合うときに直面する最大の障壁は、スキル不足や情報格差ではなく、人とのコミュニケーションに起因する心理的ハードルだ。働き方が多様化した現在でも、その根本は変わらない。

いっぽうで、現実には大卒者の約3人に1人が3年以内に離職するというデータが示すように、キャリア初期のつまずきは依然として大きい。厚生労働省の調査では21年卒の3年以内離職率は34.9%。また学生の約9割が「早期離職は避けたい」と考えているにもかかわらず、結果的に離職が発生している。この乖離が示すのは、若者が問題を抱えた瞬間に、適切な相談先へアクセスできていない現状である。

さらに、退職意向は入社直後から発生する傾向が強い。求人ボックスの調査では、新卒が辞めた時期として「半年未満」が約3割、入社1ヵ月未満で辞めたいと感じた経験がある人は32.9%に達するという。つまり、キャリアの初期段階ほど、短いサイクルで不安が蓄積しやすい構造になっている。

この構造的問題に対し、従来の転職エージェントは営業時間や対面前提の仕組みによって対応しきれていない。Z世代が本当に求めているのは「転職ありき」の助言ではなく、迷った瞬間に軽く相談できる、心理的負担の少ない接点だ。

日本初キャリアアドバイザー型
AI VTuber 灯野マナ

©株式会社Unitas

こうした背景を受けて2025年12月4日、「株式会社Unitas」が日本で初めて公開したのが、AIキャリアアドバイザー型VTuber「灯野マナ」。YouTube Liveのコメント欄を通じて、キャリア・転職相談に24時間365日匿名で応じるサービスだ。

従来のエージェントが抱えていた課題は明確。

  • 営業時間内でしか相談できない

  • アドバイザーの質が一定でない

  • 「少し聞きたいだけ」の軽い相談がしづらい

  • 対面・電話などのリアルコミュニケーションに抵抗がある

  • 転職前提で話が進むのではと懸念される

Unitasが1万人のキャリア面談から把握した潜在ニーズもこれを裏付ける。「希望の時間に面談できない」「画面オフで参加したい」「転職の有無に関わらず相談したい」——本人の意欲や事情とは関係なく、既存の仕組みの側に制約が存在していた。

だが、灯野マナはこの制約を取り払う。AIが自律的に対話を行い現役キャリアアドバイザーの知見を反映した回答を提供。さらに、相談内容の蓄積をもとに、個々の利用者に最適化された対話が可能になる。

人工的な相談相手であるがゆえに、「誰に話しているか」を気にする必要がない。対面のストレスや相性の問題も発生しない。Z世代が抱える相談行動の心理的ハードルを、もっとも直接的に取り除く設計だ。

早期離職の主因は「人間関係」
AIが初動介入できる領域

©株式会社Unitas

複数の調査は、Z世代が離職を検討する主要因が仕事内容そのものではなく、人間関係やコミュニケーションのストレスにあると示している。

ペンマークの調査では、Z世代の約6割が「上司との会話にストレスを感じる」と回答。求人ボックスの調査でも、退職理由の上位に「上司・同僚との人間関係」が挙がる。つまり、人間関係に悩んでいる若者が、さらに“人”に相談すること自体が負担になっている構造だ。

ここに「AI VTuber」というインターフェースの必然性がある。人ではなく、匿名・非対面で、反応を気にせずに状況を言語化できる。過剰な遠慮や上下関係が一切ないという点は、Z世代にとって決定的に重要だ。相談行動が早期化すれば、離職の引き金となる問題の芽を早期に拾うことができる。灯野マナが担う役割は、まさにこの初動介入である。

「心理的障壁を限りなくゼロにする」
即時性の価値

Z世代・社会人3年目以内の**68.1%**が「いずれ辞めたい」と回答しているというデータもある。だが、その一方で「辞めたいが、転職活動の心理的負担が大きい」という理由で行動に移れない人が多いことも判明している。

相談したい瞬間に、相談できない。この摩擦が、キャリア形成の遅れや問題の放置を生んでいる。灯野マナは、この摩擦を徹底的に取り除く。

  • 24時間365日いつでも話せる

  • 匿名コメントで相談可能

  • 個別最適化された回答

  • 必要に応じて、AI一次面談 → 人間のキャリアアドバイザーへの二次面談へ接続

最初の相談のハードルを下げるAIと、最終的な意思決定を支援する人間の専門家。双方の利点を組み合わせた、合理的なハイブリッド設計である。

AI VTuberが
「キャリア相談の当たり前」になる未来

灯野マナは今後、YouTube Liveでの相談を起点に、履歴書添削・求人提案といった機能を備えたAIキャリア支援プラットフォームへ拡張される予定だ。

キャリアの悩みを抱えるZ世代にとって、もっとも困難なのは「誰に、いつ、どう相談するか」。その入口が匿名かつ非対面で、即時に開かれていることは、早期離職を未然に防ぐうえで意味が大きい。

キャリア支援は、すでに「人だけの領域」ではない。相談インフラとしてのAI VTuberという新しい選択肢は、Z世代の意思決定を軽くし、個々のキャリアを自律的に組み立てるための実質的なツールとなり得る。

灯野マナの登場は、キャリア相談をめぐる文化そのものが変わりつつあることの象徴。心理的障壁の低い相談接点が社会に定着すれば、キャリアの“初めの一歩”が動き出すスピードは、これまでより確実に早くなるだろう。

Top image: © 株式会社Unitas
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