生成AIの活用で時短を実感する層は利用者のわずか4人に1人。パーソル総合研究所が明かす効率化と実労働時間の乖離

生成AIの業務利用が急速に広まる中で、その実情を詳細に分析した調査結果が公開された。株式会社『パーソル総合研究所』が全国の就業者を対象に実施した調査によると、国内の利用人口は推計1,840万人に達するという。

個別の作業効率は向上しているものの、それが必ずしも労働時間の短縮には結びついていない実態が見えてきた。

効率化の恩恵が限定的であるという冷徹な現実

今回の調査で明らかになった最も重要な事実は、生成AIによる恩恵を享受できている層の少なさといえる。

正規雇用者のタスク単位では、AIの活用によって平均16.7パーセントの時間が短縮されたという結果が出た。

ところが、実際に自身の業務時間が減少したと回答した人は、利用者の25.4パーセントにとどまるのが現状だ。

多くの現場では、AIによって浮いた時間の約6割が新たな日常業務の消化に充てられている。つまり、道具を使いこなしても仕事の総量が増えるばかりで、真の意味での“時短”には繋がっていないのだ。

属性によって二極化する普及率と活用の壁

利用者の属性や活用の習熟度においても、明確な格差が顕在化している。性年代別で見ると20代から30代の男性は4割超が利用している一方、60代女性では1割から2割台と大きな開きが出た。

業種による偏りも大きく、情報通信業が6割を占める一方で、他業種との温度差は極めて激しい。

さらに、調べ物や文章作成といった基礎的な利用に留まるユーザーが多く、業務プロセスそのものを再設計するような高度な活用は道半ばといったところか。

組織としてAIの成熟度を高めるには、個人の好奇心に頼るのではなく、組織全体で運用する姿勢が求められよう。

持続的な高度活用を支える組織インフラの整備

AI普及の成否を分けるのは、企業による仕組み化の有無に他ならない。

パーソル総合研究所は、普及の進め方を「現場任せ」や「統制」など4タイプに分類して分析を行った。

最も成果が出やすいのは、ルールやレビュー体制を整えた「仕組み化タイプ」であり、成熟度が高いほど作業の品質や創造性も向上する。

ツールを配布する段階を脱し、AIが生み出した余白時間を価値創造のためにどう使うかという戦略的設計が必要だ。働き方改革を前進させる鍵は、技術そのものよりも、それを支える組織インフラの整備にある。

© 株式会社パーソル総合研究所
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