大学生の8割超が週一でAI利用、レポート作成からAI彼氏まで生活に溶け込む実態が判明

株式会社イマーゴが設置するシンクタンク部門iQ Labは、「大学生のAI利用実態調査」の結果を公表した。

この調査から、大学生の約84%が週に1回以上ChatGPTなどの生成AIサービスを利用しており、その用途は学業の補助から恋愛相談といったプライベートな領域にまで拡大している実態が明らかになった。

生成AIは「週1以上」が当たり前、ChatGPTが圧倒的主流に

iQ Labが2025年5月から7月にかけて現役大学生760名を対象に実施したアンケート調査によると、生成AIを「ほとんど毎日利用する」学生は28.7%、「週に何度か利用する」は43.3%にのぼった。

週に1回以上利用する学生を合計すると8割を超え、一方で「利用していない」層は2.4%とごく少数。生成AIが大学生にとって日常的なツールとして急速に定着している様子がうかがえる。

利用されているサービスとしては、ChatGPTが圧倒的な支持を集め、最も利用頻度が高いサービスとして82.2%の学生が選択。Google Gemini(6.9%)やMicrosoft Copilot(5.8%)を大きく引き離す結果となった。

© 株式会社イマーゴ
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“デジタルの親友”、AI彼氏や人生相談にも活用

生成AIの用途は、レポート作成といった学業支援に限らない。今回の調査では、プライベートな目的で生成AIを「よく利用する」「たまに利用する」と回答した学生が64.2%に達した。

具体的な使われ方として、「AI彼氏」「恋愛相談」「人生のやりたいことリスト作成」「洋服選び」といった、効率化とは異なる、よりパーソナルな目的が挙げられたという。

この結果は、若者たちが生成AIを情報処理の道具としてだけでなく、感情に寄り添う対話パートナーとして受け入れている可能性を示唆している。

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高校時代から利用は3割、進む“生成AIネイティブ”化

生成AIの利用開始時期が低年齢化していることも、この調査で明らかになった。

利用を始めたタイミングについて、「大学1年時」が46.9%で最多だったものの、「高校時代から」という回答も30.6%を占めた。特に現在18〜19歳の学生に絞ると、半数が高校時代にAIを使い始めたと回答しており、「生成AIネイティブ世代」と呼べる層が出現し始めていることがわかる。

この潮流は、教育現場がAIリテラシーを教える出発点が、すでに実態と乖離している可能性を示しているのかもしれない。

© 株式会社イマーゴ
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無料を望む一方、広告バイアスには強い嫌悪感

料金体系については、「広告を見てもいいから無料で使いたい」と考える学生が77.0%と大多数を占めた。

しかしその一方で、AIの回答に広告主の影響が及ぶことに対しては、約75%が「あまり許容できない」「まったく許容できない」と回答し、広告による情報の偏りには明確な嫌悪感を示した。

この一見矛盾した傾向について、リリースでは、若年層が持つ倫理観や、AIに「信頼できる存在であってほしい」と願う心理の表れではないかと分析されている。

iQ Lab共同代表の神尾寿氏は、「今後、AIの開発や実装においては、技術的な機能性だけでなく、ユーザーが求める透明性・共感性・信頼性の3要素をどのようにデザインしていくかが重要になる」と総評している。

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