AI時代に「稼ぐ力」を磨く。世界と日本の若者の選択
ChatGPTをはじめとする生成AIの登場で、いま世界はまさにAI革命の真っただ中にある。私たちの仕事や生活にも大きな変化が訪れようとしているなか、世界の若者はこの状況にどう向き合っているのだろうか。
オンライン英会話サービス「Preply」が実施した世界9ヵ国を対象とした調査から、興味深い結果が見えてきた。
AI活用の現状
世界と日本とのギャップ
「Preply Inc.」がヨーロッパ、アジア、北米、南米の9つの地域における18歳から43歳までを対象におよそ5400人に調査を実施。全体で54.5%がAIを積極的に活用しているいっぽう、日本ではその割合が41%にとどまることが明らかになった。各国でAIツールが積極的に導入される現代だが、どうやら日本の若者たちは後れを取っているらしい。
経済不安な時代に求められる
新たな「稼ぐ力」とは
同調査で明らかになったもう一つの興味深い点は、多くの国の若者が「経済的な安定」を人生のもっとも優先したい事項に挙げていること。特にアルゼンチン、日本、韓国において、その傾向が顕著に見られる。
AI技術の進化は、私たちの仕事にも大きな影響を与えるだろう。これまで人間が行ってきた仕事の一部は自動化され、新たな仕事が生まれる可能性もある。このような状況下において、変化を恐れずに、柔軟に対応していく「適応力」こそが、これからの時代に求められる「稼ぐ力」と言えるのではないだろうか。
新しいスキル習得と語学学習の重要性
AI技術の普及が進む中で、新しいスキルの習得も急務である。特に、語学学習においては文化の壁を越えて情報を吸収する力が求められる。同調査では、トルコの若者の73%、ポーランドで67%が新しい言語学習を行っていることがわかっている。この傾向は、対面での学習方法を重視する若者たちのニーズを反映したもの。
しかし、日本ではAIを活用した新しい学習方法が十分に普及しておらず、従来の学習方法に頼る傾向が強い。これに対して、AI技術の有効性を再認識し、積極的な導入が必要ではないだろうか。
経済的不安への対応策
Preplyの調査結果で注目すべきは、AI関連スキルを学ぶ若者が増加傾向にある一方で、語学学習の人気も依然として高いことだ。
AI時代においては、人間にしかできない能力、例えばコミュニケーション能力や問題解決能力、創造性などがより一層重要視されると予想される。語学学習は、これらの能力を磨くための有効な手段と言えるだろう。
グローバル化が加速する現代において、異なる文化や価値観を持つ人々と円滑にコミュニケーションを取ることは、ビジネスのみならず、あらゆる場面で求められるスキルとなっている。語学学習を通して、異文化理解を深め、多様な価値観を受け入れる柔軟性を育むことは、AI時代を生き抜くための強力な武器となるだろう。
AI技術の進化は、私たちの社会に大きな変化をもたらそうとしている。変化の波に乗り遅れることなく、積極的に新しい知識やスキルを身につけることが、激動の時代を生き抜く鍵となるだろう。
世界が急速に進化するなか、我々もその波に置いていかれるわけにはいかない──。