大学生の8割が日常的に生成AIを利用。恋愛相談にも活用する実態が明らかに
大学生にとって、生成AIはもはや特別な技術ではないのかもしれない。
株式会社イマーゴのシンクタンク部門iQ Labが実施した調査から、彼らが生成AIを日常的に使いこなし、学業のサポートから個人的な悩み相談まで、幅広い用途で活用している実態が見えてきた。
週1回以上の利用が8割超、生成AIは日常のツールに
iQ Labによる『大学生のAI利用実態調査』が、Z世代とAIの密接な関係を明らかにした。現役大学生760名を対象にしたこの調査によると、週に1回以上ChatGPTなどの生成AIサービスを利用する学生は全体の約84%に達するという。
内訳を見ると「ほとんど毎日利用する」が28.7%、「週に何度か利用する」が43.3%を占めており、すでに生活に不可欠なツールとなっている様子。
利用サービスの主力は圧倒的にChatGPTで、82.2%の学生が最も頻繁に使うAIとして挙げている。一方で、生成AIを「利用していない」と答えた学生はわずか2.4%にとどまった。


「AI彼氏」から人生相談まで、感情に寄り添うパートナーへ
生成AIの利用は、レポート作成といった学業用途に限らないようだ。
調査では、64.2%の学生が日常生活でAIを活用していると回答。その内容は「AI彼氏」「恋愛相談」「人生のやりたいことリスト作成」など、極めて個人的な領域にまで及んでいることがわかった。
この傾向は、若者たちがAIを単なる情報処理ツールではなく、感情に寄り添う対話パートナーとして受け入れていることを示唆しているのかもしれない。
さらに、利用の低年齢化も顕著だ。約3人に1人が「高校時代から利用していた」と答え、18〜19歳の学生では半数が高校生のうちにAIを使い始めていたことも判明。まさに「生成AIネイティブ世代」が生まれつつある状況がうかがえる。



無料を望む一方、広告による影響には強い拒否感
料金体系に関する学生の意識には、興味深い矛盾が見られた。
全体の77.0%が「広告を見てもいいから無料で使いたい」と回答し、価格を重視する姿勢が明確になった。
ところが、「もしAIの回答内容に広告主の影響が及んでいるとしたら」という問いに対しては、約75%の学生が「許容できない」と回答。広告による回答の偏りには、明確な嫌悪感を示した。
無料利用を望みながらも、AIには公平性や中立性を求める。この背景には、ステルスマーケティングなどに敏感な若年層の倫理観や、AIは信頼できる存在であってほしいという潜在的な期待があるのではないかと分析されている。
技術から信頼へ、AIと人の新たな関係性
今回の調査結果について、iQ Lab共同代表の神尾寿氏は、若年層がすでに生成AIを「新たな日常生活でのパートナーとして再解釈している」と指摘する。
その上で「今後、AIの開発や実装においては、技術的な機能性だけでなく、ユーザーが求める透明性・共感性・信頼性の3要素をどのようにデザインしていくかが重要になるでしょう」との見解を示した。
生成AIは、便利なツールという段階を越え、人々の心に寄り添う存在へと変化し始めている。Z世代が示すAIとの新しい関係性は、これからの社会のあり方を映す鏡となるかもしれない。
■調査概要
アンケート調査 有効回答数 : 760名
インタビュー調査 対象者数 : 45名
回答者年齢 : 18歳〜25歳
調査期間 : 2025年5月29日〜7月4日
回答者属性 : 現役の大学生






