AIによる「ロマンス詐欺」の実態が見えてくる調査結果
グローバルにオンラインセキュリティをリードする「マカフィー株式会社」が、AIツールがオンライン上での恋愛や婚活で果たす役割などを調査した結果を発表した。
調査は2024年1月、18歳以上を対象にオンラインアンケートを実施し、米国、英国、フランス、ドイツ、オーストラリア、インド、日本の7ヵ国から合計7000人の成人が回答。
結果によると、米国男性の45%が今年のバレンタインデーには、「AIを使って愛のメッセージを書く」と回答し、恋愛目的でAIツールの導入が進んでいることが明らかに。一方、日本男性でそのように回答したのは19%ほどで、日本人は恋愛やオンライン・デートへのAI利用に関して、保守的な傾向にあるようだ。
また、オンラインデートの際に写真やその他のコンテンツの作成にAIツールを利用していると回答したのは、米国人の23%だったのに対して日本人はわずか7%。ここでも利用傾向に差がでている。ただし、AIが作成した画像やプロフィールを使用する恋愛対象の候補者に対して不信感を持つとした米国人は64%にのぼり、「使っている割に……」という結果。同じ回答は日本人で57%となっており、こちらは2ヵ国ともあまり差がない様子だ。
これらは不信感を招く要因なのか、米国では31%(日本6%)の人が「オンラインで恋人になりそうな相手が詐欺師であることが判明した」と回答し、“ロマンス詐欺”が増加していることも浮き彫りになったという。
しかし、「AIが書いた愛のメッセージのほうが、自分で書くよりも相手から良い反応を得られた」と米国で69%、日本39%が回答しているのも、興味深い結果。
このようにメッセージの送り手は肯定的に活用しているものの、57%の米国人が「愛のメッセージをAIが書いていたと知ったら、傷つく・気分を害する」と回答している。ちなみに、同じ回答をした日本人は47%になっている。
そのほかの質問からは、「恋愛を見つけるために出会い系ウェブサイト、アプリ、ソーシャルメディアを利用している、または利用したことがある」と回答したのが米国人で58%、日本人22%となっており、オンライン・デートが浸透しているのは事実のようだ。
そして恋愛におけるAIツールへの懐疑的な目があるものの、オンラインで愛を探す人々を騙すロマンス詐欺がAIによって横行するのも今後の課題のようで、日本人の半数は「AIが作った恋愛メッセージを見分けることができない」と答えている。
さらに米国人の57%が、新たな恋人と出会ってすぐに送金を要求され、そのうちの30%が約15万円(1000ドル)以上の送金を要求されたと回答。日本人の回答では金銭を要求されるロマンス詐欺に遭遇したのは23%、そのうちの29%が15万円以上の送金を要求されたとのこと。
マカフィーは今回の調査から、オンラインデートは相手を調べることが大事として、プロフィール写真を逆画像検索してさまざま名前で利用されているなども有効な手段と伝えている。
あわせて、同社製品にはショートメッセージ、電子メール、オンライン検索、ソーシャルメディアで共有される危険なリンクなど、いまだかつてないオンライン上の脅威や詐欺をリアルタイムで検出して保護する「マカフィー 詐欺メッセージ対策」といった革新的な機能を提供しており、“AI詐欺にAIで対抗”していくようメッセージしている。