調査結果から見えてきた、「こころの健康」に大切なこと。
ここ数年、心の健康(メンタルヘルス)の重要性が増してきています。
WHO(世界保健機関)によると、現在世界中でおよそ10億人近くが精神障害を抱えながら日々を過ごし、毎年300万人近くがアルコール依存により命を落とし、40秒に一人が自死を選んでいるそうです。
新型コロナウイルスを機に、テレワークの普及による新たなストレスに苛まれるケースも多く、うつに悩まされる人々も増加しているとも。
現代を生きる一人として、今あらためて意識したい心の健康。今日、10月10日は「世界メンタルヘルスデー」でもあります。
そこで、これまでご紹介してきたメンタルヘルスに関する調査結果を中心にまとめてみました。
SNSは1週間使わないだけでも
「うつ」が軽減される。
一定期間スマホをはじめとするデジタルデバイスと距離をおくことで、ストレス軽減したり、自然に触れる機会を増やす。いわゆるデジタルデトックスに関する興味深い論文が2022年6月に発表されました。
いわく、1週間SNSを利用しないだけでも「うつ」や「不安症」などの症状が軽減されるんだとか。
SNSなどの心理的影響を詳しく取り扱う学術雑誌『Cyberpsychology, Behavior, and Social Networking』に掲載されたこの内容。なんとなく理解はしているつもりのSNSによる悪影響。そこからたった7日間でも解放されることで、ウェルビーイング促進にもつながるとなれば……。
みなさんならどう? 1週間、SNSから離れられるでしょうか?
心の健康には、
「週8時間労働」がベスト!?
英研究チームにより明らかになった「勤務時間とメンタルヘルスの関係」を示した、興味深い研究結果がこちら。
テクノロジーの発達によって、人間の仕事が今よりずっと少なくなる可能性のある未来において、いったい週に何時間働くことが心の健康にとっていいのか?
16歳から64歳までの約8万5千人から得たデータが導き出した答えとは……。
いわく、週8時間仕事をすることで幸福感は十分に得られ、その効果は週48時間働くのとほぼ同じなんだそう。
え、たった週に8時間でいいの!?
科学的に証明!
「かわいい動物」でストレス軽減
かわいい動物たちの写真や動画で癒される──。これ、科学的に効果が証明されたメソッドだって、知ってました?
英「リーズ大学」と「西オーストラリア州政府観光局」による共同実験によると、ストレスを感じていると答えた参加者にかわいい動物の写真や動画を含む30分のスライドショーを見せたところ、参加者全員の心拍数が下降、さらに血圧にも同様の変化が現れたんだとか。
で、ストレス軽減にもっとも効果がある動物が、“世界一幸せな動物”と呼ばれているクオッカ。
今すぐ癒されたい!って人は、ぜひ画像や動画検索してみて。
子どものころのワクワク、ドキドキ
「うつ」と関係しているらしい。
英エクセター大学の研究チームによると、ワクワクや、ドキドキ、そして、少しばかり恐怖心を覚えること──そんな経験を数多くしている子どもほど、うつや不安症になりにくいんだそう。
木に登ったり、高いところから飛び降りたり、大人の目を盗んで遊んだりした経験のある子どもは、そうした経験が少ない子どもと比べて、うつや不安症になりにくい傾向にあるってことのよう。
アンケート調査をベースとしたこの研究、対象になっているのは5歳〜11歳の子どもを持つ約2500人の親。子どもの外遊びをする頻度やメンタルヘルスに関する質問の回答が裏付けのようですよ。
あの頃の冒険心を思い出して、ワクワク、ドキドキしてみたら?って、大人になった今からじゃ遅い、か。
やっぱりね!「運動」は
メンタルヘルスに直結する。
運動とメンタルヘルスの関係性について「アシックス」が調査を実施。日本を含む16か国、計3万7000人を対象とした「ASICS State of Mind Index」が発表されました。
週150分以上の運動をしている人を「アクティブ」、逆に週の運動時間が30分未満の人を「非アクティブ」と定義し、ポジティブな精神状態を独自の方法で点数化。
結果見えてきたのは……57歳以上がもっともアクティブで、なんとZ世代は世代別でもっとも低い数値に。デジタル化のあおり?
とにもかくにも、体を動かすことが身体的にも精神的にも好影響を与えてくれることは、どうやら間違いないようですよ。