時間との戦いは「負け戦」。ワークライフバランスを達成した人は、この世に存在しない……
仕事と生活のバランス、とれてますか?
「ワークライフバランス」という言葉をよく耳にする今日、もちろん意味は理解しているけど、実践できてる人はいるの?
答えは、ノー。
「実践できている人なんて存在しないし、その境地には辿り着けない」英国のジャーナリストOliver Burkeman氏は、ベストセラーの著書『Four Thousand Weeks - Time Management for Mortals』の中で語っています。
じゃあどうすればいいの?諦めて資本主義に染まるか、全てを投げ出してひたすら人生を浪費するの?
Burkeman氏は、「コントロールできる時間は限られている」と折り合いをつけることを勧めています。彼によれば、時間との戦いは「常に負け戦」で、本気で戦おうとすると急かされてプレッシャーに圧倒され、より焦ってしまうのだそう。
1日にやるべきことを詰め込んで少しでも多くを成し遂げようとするよりも、限られた時間の中で有効な取捨選択をすることが大切なようです。
今回は、『Psychology Today』が掲載した、時間に負かされないための7つのアドバイスをご紹介します。
限られた時間の中で実践する
最高のタイムマネジメント方法とは?
1. 「還元主義者」になろう
英語で「reductionist」呼ばれるそれは、直訳すると「還元主義者」。小難しく聞こえますが、簡単に言うと「引き算を心がけろ」という話のようです。
私たちは何か問題に直面すると、ほとんどの場合で足し算をする傾向があります。職場では会議や資料が増え続け、学習のためには宿題が増え続け、利便性を求めればアプリやガジェットが増え続け……とにかく増え続けるのです。
何をどれだけ増やしても、それらを使える時間は「限られている」わけですから、反対に“何が減らせるのか”を考えた方が建設的。
こうすることで、先述したような圧迫感は緩和されそうですね。
2. 今に集中しよう
先回りして効率を追求する(同誌の言葉を借りれば)“生産性のポルノ”みたいな現代社会ですが、何度も言うように時間は限られています。
どんなに事前準備を追求しても限界は来るので、とにかく「今この瞬間」や「今一緒にいる相手」に全神経を集中させましょう。
3. じっとしよう
定期的に作業を一時停止しましょう。
一日にありったけのタスクを詰め込むのではなく、その日の教訓を振り返る時間を取って落ち着く。
そうすることで、先の「今への集中力」が養えるはず。常にタスクに追いかけ回される状況も改善するはずなので、よりサステナブルな生活サイクルとも言えるでしょう。
4. 他人の役に立とう
時間に追われていないと感じるためには、誰かに「時間を捧げる」と良いみたい。
一度自分から意識を逸らし、ボランティアなど他人のために時間を使うと、時間と意味の感覚を広げることができる……とのことです。
5. 選択的になろう
抽象的な話ではありません。自分の価値観に合わないことには「ノーと言え」ということです。
罪悪感や義務を感じて断りにくさを感じるかもしれませんが、それだけで自分の時間を手放す必要はありません。
最近では、かつて浸透した“FOMO (Fear of Missin Out=友人の誘いを断ることで取り残された感覚に陥る感情)”よりも、その対義語にあたる“JOMO (Joy of Missing Out=自分を優先することでストレスから解放される)”という概念が浸透してきています。
今一度、何を優先し何を選ぶか、よく考えてみましょう。
6. 正直になろう
家族や友人、恋人など、もっと大切な人と一緒にいたいのに、同じ時間を過ごしているとついスマホを触ってしまう……という人は多いでしょう。
でも、大切な人と向き合う時間は、幸福には欠かせないもの。
極端な話、最期を迎える時のことを想像してみましょう。「もっとあの人と一緒に居たかった」と思う人は多いかも知れませんが、死の床で「もっとSNSに時間を費やすべきだった」と言う人は居ないはずです。
大事な人と密度の高い時間を過ごすために、自分の気持ちは正直に伝えておきましょう。そうすれば、最高の時間があなたを癒してくれるはず。
相手にも自分の気持ちにも、正直で良いんです。
7. 睡眠を大切にしよう
睡眠不足は“活力の吸血鬼”。
精神的・肉体的エネルギーは幸福の通貨のようなものなので、よく寝て英気を養わないと良い時間は手に入りません。
「質の高い睡眠が質の高い時間を生み出す」というのは、普遍の事実なのです。
全ての社会人へ
ワークライフバランスを再考しませんか?
昨今、ほとんどの人はワークライフバランスに肯定的です。
もちろん仕事と人生のバランスを取るのは悪いことではありませんが、あまり意識し過ぎると、かえって辛くなってしまうかも知れません。「ワークライフバランス」の概念そのものが捉え所のない存在なので、過度に追い求めるとそれこそタスクが増えてしまいます。
だからこそ、あくまでも“時間は有限である”ことを忘れずに、大切な時間を大切なことに使うようにしたいですね。
やりたいことをすべてやるのに十分な時間はないので、時にはバランスが崩れることもあるでしょうが、それでいいのです。