Z世代が発見した「解雇回避ハック」が気になる

世はまさに技術革新、AI全盛の時代。いつか、自分の仕事がAIにとって変わるやも……。そんな不安を抱えているのはアナタだけではないはずだ。現に、GAFAMのようなビッグ・テックでは、大規模な人員削減が相次いでいる。

そうした状況にいま、アメリカのZ世代を中心に、解雇の大波を回避する現実的な「解雇防止ハック」に注目しているらしい。

それは、政府機関をはじめとする公共部門の仕事、つまりは公務員なんだとか。

「Business Insider」が報じたところによると、ミレニアルズも含めて、いま彼らが仕事に求める最大の要素として「安定」を挙げているそうで、「#governmentjobs」がTikTokでトレンド入り。大学生向け就職サイト「Handshake」の調べでは、公務員への募集が過去1年間で2倍以上に達し、求人ごとの平均応募数も55%増加。2023年には、全米1500以上の学校から学生による応募があったそうだ。

希望職種を見てみると、教師、軍人、公園警備隊、ソーシャルワーカー、さらには議員と多岐にわたる。

さて、「なにを今さら」と思われた読者のみなさま。いちど、ご自身の立場で考えてみてほしい。公務員を志望、あるいは転職する未来は果たして非現実的だろうか。

これまで日本では終身雇用の形態をとる企業が多く、よほどのことがない限り企業側が社員をクビにすることは難しいと考えられてきた。が、未曾有のコロナ禍で多くの企業が大規模リストラを断行。グローバル化は進み、競争力の高まりから人員整理へと大きく舵を切る企業も少なくない。もはや、対岸の火事とも言っていられない状況ではなかろうか。

話をアメリカに戻そう。

こうしたMZ世代の公務員ブームを、「この困難な市場において最大の利点のひとつは雇用の安定」だと語るTikTok採用担当者Bonnie Dilber氏のコメントを紹介しているのは、同じく解雇回避ハックを特集した「Fortune」だ。

AI導入で民間企業に遅れをとる公務員は、解雇という脅威からすると“安全地帯”との思いがZ世代を中心に渦巻いていることはどうやら間違いない様子。また、健康保険や福利厚生、早期退職保証、さらには特定の部門に限定されるようだが奨学金免除という恩恵も学生たちからすると魅力のようだ。
 
かつてのAmerican Dreamは、もはや字のごとく夢物語。不安定な景気や先の見えない社会情勢を前に、いま本当に求められるものは、雇用の安定だとしたら……かつてのアメリカンドリームは、もはや字のごとく儚い夢ものがたりなのだろうか。
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