日本の「はたらく幸せ実感度」はなぜ低い?【パーソル総合研究所】

労働市場に関してあらゆる視点から調査・研究に取り組む「パーソル総合研究所」が、「グローバル就業実態・成長意識調査 -はたらくWell-beingの国際比較」を発表。

これは昨年、アジア太平洋地域(APAC)および欧米地域を含めた世界18ヵ国・地域の主要都市を対象に実施した「就業実態・成長意識調査」でわかった、日本のはたらく幸せ実感度が他国に比べて低い理由を明らかにすべくまとめられたものだ。

最初にはたらく不幸せ・幸せ実感度ランキングを見てほしい。

©株式会社パーソル総合研究所

日本は不幸せ・幸せ実感度ともに18ヵ国のうちで最下位。

“不幸せとまではいかないが幸せでもない”というのが、日本人のはたらくことに対する一般的な価値観のようだ。

では、幸せ実感度が低い理由に迫っていこう。

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まずは、はたらく幸せ・不幸せ実感度と日本における特徴的な組織文化との相関係数から。

幸せ実感度が最も低くなる組織文化は「権威主義・責任回避」で、不幸せ実感値が最も高くなるのも「権威主義・責任回避」。

日本はそもそも“上層部の決定にはとりあえず従う”や“物事は事前の根回しによって決定される”といった権威主義・責任回避の傾向が比較的強いといわれているなかでのこの指標……上掲のはたらく不幸せ・幸せランキングに大きく影響していそうだ。

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さて、職位によって権威主義・責任回避とはたらく幸せ・不幸せ実感度の関係に違いはあるのだろうか。

このグラフによれば、権威主義・責任回避の組織文化が強い場合、一般社員・従業員のはたらく幸せ実感度は低下し、不幸せ実感度は増加。管理職には逆の傾向がみられた。

つまり、非管理職のWell-beingをマイナスにし、管理職のWell-beingをプラスにするのが権威主義・責任回避の組織文化といえる。

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続いて「異質な他者への寛容性」をみたグラフ。

「自分とは考え方や好み、やり方が違う人とも積極的に関わる」かどうかで、「とてもそう思う・ややそう思う」の割合は18ヵ国で最下位。しかし、「考え方や価値観の異なる人とは付き合わないようにしている(逆転項目)」での「とてもそう思う・ややそう思う」はインドネシアに次いでワースト2位。

要するに、“異質な他者と積極的に関わろうとはしないが進んで付き合いを避けることもしない”のだ。

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異質な他者への寛容性とはたらくしあわせ実感の相関係数だが、寛容性が高い国・地域ほどはたらくしあわせ実感度が高く、不幸せ実感度も低い傾向がみられたなかで、日本の寛容性は香港に次いでワースト2位。

なお、パーソル総合研究所がおこなった別の調査により、異質な他者への寛容性は他者への信頼感を高め、協調行動を円滑にし、集団の安定や統合、目標達成に貢献することが指摘されている。

さて、働き方改革が叫ばれはじめて久しい日本だが、まだまだ道半ばなのは誰もが理解できたはず。

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ぜひ、一読してみて。

『グローバル就業実態・成長意識調査 -はたらくWell-beingの国際比較』

https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/data/global-well-being.html

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