トレンド拡大中の「コミュニティディナー」とは。見知らぬ人と食卓を囲む、Z世代の新しい交流の場に

インドの若者の間で、見知らぬ人同士が集まって食事をする「コミュニティディナー」という交流の形が注目を集めているようだ。

マッチングアプリやSNSでの交流に代わる、リアルなつながりを求める動きとして、専用のプラットフォームも登場し、利用者を増やしているという。

専用プラットフォームが仲介する新しい出会い

このトレンドを牽引しているのが、「StepOut」や「Bunchh」といったプラットフォーム。

これらのサービスは、アプリやウェブサイトを通じて通常6〜8人の利用者を見知らぬ人同士でグループ分けし、厳選されたレストランでのディナーをセッティングする仕組みらしい。

デリーやベンガルールなどでサービスを展開するStepOutでは、利用者は性格診断クイズに答えることで、興味や関心が近い人々とマッチングされるとのこと。チケット価格は599ルピーで、食事代は別途個人会計となる。

一方、ムンバイを拠点とするBunchhは、749ルピーのチケットに会話のきっかけとなる「テーマトークカード」を含めるなどの工夫をしているようだ。

利用者の肯定的な反応と運営側の安全対策

実際に参加した利用者からは肯定的な声が上がっているようだ。

『Hindustan Times』の取材に対し、28歳のデジタルクリエイター、Utsavi Zatakia氏は、予想以上に楽しい経験で、インスタグラムで連絡を取り合う友人ができたと話している。

見知らぬ人と会うことへの安全性については、各プラットフォームが対策を講じている。StepOutの共同創設者であるSumati Jalan氏は同メディアに対し、安全性を「交渉の余地がないもの」と位置付け、イベントは公共のレストランで開催し、本人確認済みの電話番号での登録を必須としていると語った。

また、レストランの選定にも、大通り沿いにあることや、他の店舗が入る複合施設内にあることなど、複数の安全基準を設けているとのこと。

Bunchhも同様に、女性である創設者自らが安全性を重視しており、申込者のSNSプロフィールを確認するなど、登録者全員の事前審査を行っているという。

新たなつながりを求める現代のニーズ

こうしたサービスが生まれた背景について、『Hindustan Times』でStepOutのJalan氏は、キャリアなどを求めて新しい都市に移り住んだ人々が失いがちな「本質的な人とのつながり」へのニーズがあると指摘している。

デジタルでのコミュニケーションが主流となる現代において、食事というシンプルな行為を通じてリアルな人間関係を築こうとするこの動きは、インドのZ世代を中心に、今後も広がっていくのかもしれない。

Top image: © iStock.com /momcilog
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