「共感ベース」の新しい恋愛価値。Z世代は「フリーク・マッチング」に夢中

自分のタイプではない相手と意図的に付き合う「contra-dating(コントラデーティング)」に、AIがユーザーの恋愛をサポートするアプリ「Rizz」の台頭など、日に日にアップデートを重ねるZ世代から、またしても新たな恋愛トレンドが生まれている。

それが「Freak Matching(フリーク・マッチング)」。恋愛の価値観が多様化する現代で、もっと自由に、もっと自分らしくハッピーになれる恋のヒントは、このトレンドに隠されているかもしれない。

歌詞から生まれた新潮流
「フリーク・マッチング」とは?

印メディア「Hindustan Times」によると、フリーク・マッチングとは、ありきたりなデートアプリの条件検索では見つからない、もっと深い部分での共鳴を重視する新しい恋愛の潮流だという。おいしいコーヒーを一緒に楽しんだり、夢中になれる趣味を共有したり、くだらない話で笑い合ったり……「運命の人」を探そうとするのではなく、「ありのままの私を理解してくれる仲間」を見つけることが最大の魅力だということらしい。

実は同トレンドの発端は、歌手で女優のティナーシェが、今年4月にリリースした楽曲『Nasty』の一節。「Is somebody gonna match my freak?(誰か私のfreakとマッチする?)」という歌詞が、SNSを中心に拡散し、Z世代の恋愛観を表現する言葉として広く使われるようになったようだ。

Spotify / Tinashe

「運命の人」探しはもう卒業

当初は楽曲の歌詞になぞらえて、性的な嗜好の一致を意味する言葉として解釈されていた節もある「フリーク・マッチング」。しかし、実際のところZ世代の間ではより広義的な意味で使われているようだ。

たとえば、インフルエンサーのMorgan Pateは自身のTikTokで「私にとってのフリーク・マッチングは、コーヒーを一緒に楽しんだり、ジムで汗を流したり、大好きなパジャマで『セックス・アンド・ザ・シティ』を見ながらくつろいだり……そんな些細な瞬間さえも共有できる相手を見つけること」と発信している。

フリーク・マッチングが注目される背景には、マッチングアプリの普及により、出会いの形式が大きく変化したことも挙げられるだろう。手軽に出会えるようになった反面、条件ばかりを重視してしまい、本当に大切なことを見失ってしまうこともある。そんな“アプリ疲れ”を感じている人が「もっと深く、自分と価値観の合う相手を見つけたい」という思いから、このトレンドに共感しているのかもしれない。

時代遅れの恋愛観にさよなら
「好き」を共有できる関係を

Z世代の価値観を表すキーワードとして、「タイパ(タイムパフォーマンス)」や「推し活」などがある。彼らの「限られた時間を有効活用したい」「好きなものにはとことん熱中したい」という思いが、恋愛においても「自分にとって本当に大切なもの」を重視するフリーク・マッチングに繋がっていると考えられる。

肩書きやステータスではなく、夢中になれる趣味や価値観といった、その人らしさを形づくる「好き」を共有できる関係。それは、飾らないありのままの自分でいられる、居心地のよい空間を生み出すだろう。

👀GenZ's Eye👀

「Freak(変わり者)」は、小さなこだわりや細かい価値観のことだとも捉えられる。より詳細な部分で共感できると、一気に距離が縮まり仲が深まる。そんな細かな部分でマッチする人を探すのは、史上最強にタイパが良いのではないだろうか。

Top image: © iStock.com / ProfessionalStudioImages
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。