Z世代の17%が「LGBTQ+」の現実。彼らが求める、理想の恋愛関係を読み解く

最近の若者は恋愛離れ──メディアで見聞きする機会も多くなった、この言葉。恋愛や結婚に価値を見出さないドライな若者像を思い浮かべる人もいるかもしれない。しかし、本当にZ世代は「恋愛」や「結婚」に対して冷めきっているのだろうか。

最近の調査データを見てみると、そこには従来の価値観にとらわれない、新しい価値観で「繋がり」を求めるZ世代の姿が見えてくる。

「多様化」と「安定志向」
変化する恋愛観・結婚観

「イプソス」が2024年に行なった調査によると、現在、Z世代の約17%が「LGBTQ+」であると回答。ミレニアル世代の11%、X世代の6%、ベビーブーマー世代の5%と比較して、性的マイノリティの割合がもっとも高いという。

「ギャラップ」の2023年の調査では、アメリカにおいても18歳から26歳の22.3%がLGBTQ+を自認しており、性的指向の多様化は明らかだ。こうしたなかでZ世代は、"男はこうあるべき""女はこうあるべき"といった従来の性規範にとらわれない、自由で柔軟な恋愛観・性愛観を形成している。

また、マッチングアプリ「Match.com」の調査では、アメリカのZ世代シングルの42%が同性との性経験に関心を示しており、Z世代の多くが自身のセクシャリティを流動的なものと捉えていることがうかがえる。

注目すべきは、ジェンダー観の多様化とともに、Z世代の恋愛・結婚観にも変化が訪れている点だ。従来の「結婚が当たり前」という価値観は薄れ、結婚という制度自体に疑問を持つ人も少なくないのだ。

コスパ重視の恋愛観
Z世代が求める「理想の関係」

では、Z世代は「恋愛」や「結婚」そのものに価値を感じていないのだろうか。

同調査では、アメリカのZ世代シングルの57%が結婚を希望し、83%が「結婚は生涯続くものである」と信じているとのこと。これは、彼らが決して恋愛や結婚に無関心なのではなく、むしろ「本気の恋愛」を求めていることの表れと言えるだろう。

また、イギリスの出会い系サイト「eHarmony」が昨年行なった調査によると、セックスの回数が増えたと回答したイギリス人女性の47%が、パートナーができたことを理由に挙げている。この結果からも、Z世代は必ずしも恋愛やセックスに消極的なのではなく、むしろ「質の高い関係」を求めていることが推測できる。

SNSの普及により、常に他人と比較され、承認欲求に晒されるZ世代にとって、心を許せるパートナーとの穏やかな関係は、疲弊した心を癒やす「安全基地」としてますます重要になっているのかもしれない。

自分らしさを大切に
新しい時代の「幸せのカタチ」

こうしたことから、Z世代の恋愛・結婚観は、決して冷めているわけではないと言えるだろう。むしろ、従来の価値観や社会規範にとらわれず、本当に大切なものを探し求めている、真っ直ぐな価値観の表れにも近い。

なにより大切なのは、「結婚すべき」「恋人がいないと幸せになれない」といった外部の声に惑わされることなく、自分自身の気持ちに正直になることだ。周りの意見に流されず、自分にとって本当に心地よい関係を築くことが、Z世代にとっての幸せへの近道と言えるだろう。

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