意外と知らないZ世代の「地域差」。価値観・消費行動の違い、マーケティングへの影響は?
近年、Z世代(1990年代後半から2010年代前半に生まれた世代)は、企業のマーケティング戦略において重要なターゲットとなっている。
しかし、全国のZ世代が同じ価値観や行動を持つわけではない。株式会社大広の「D’Z lab.」が実施した調査によると、地域ごとにZ世代の意識や行動には明確な違いがあることが判明した。
この調査結果は、企業やブランドがZ世代向けの戦略を考える際に、単一のアプローチではなく、地域特性を考慮する必要があることを示唆している。
【調査概要】
Z世代の中でも、トレンドに敏感な10代にフォーカスし、全国における15才から19才までの男女を対象にWEB調査を実施。各エリアで異なる10代Z世代の価値観を探りました。
■調査手法: WEB調査
■調査時期: 2024年11月末
■対象者: 15歳~19歳
■調査エリア: 北海道、東北、関東、東海、関西、中国、四国、北陸、九州・沖縄
■サンプル数: 900サンプル
地域ごとのZ世代の意識の違い
本調査では、全国の15歳から19歳を対象に、価値観や消費行動に関するデータが収集された。その結果、「Z世代であることに共感できない」と答えた「逆Z世代」が、中国地方では48.9%に達した。
また、「時間ギリギリまで行動しない」傾向を持つ「ギリZ」が特に多い地域は四国地方で、59.4%が該当することが分かった。
Q. あなたは、自分自身をどのように感じますか。

Q. あなたは、日常生活(衣・食・住・勉強・準備など)についてどのような意識で行動していますか。

Q. あなたは、時間を効率的に使って過ごしたいですか。それとも、時間にとらわれず、ゆったりと過ごしたいですか。

消費行動における地域差
消費傾向にも顕著な違いが見られる。
例えば、北陸地方では「コト消費」への関心が高く、33.0%が体験型消費を重視すると回答した。コト消費は、物を所有することよりも、旅行やイベントなどの体験を重視する消費行動。近年、日本全国でこの傾向は強まっているが、北陸地方では特に顕著であり、地域資源を活用した観光や体験型イベントへの関心が高いと考えられる。
一方、東海地方では50%が「ほぼ毎日テレビを観る」と回答しており、Z世代のメディア消費において他の地域とは異なる傾向が見られた。多くのZ世代はSNSや動画配信サービスを主な情報源としているが、東海地方では依然としてテレビが重要なメディアであることが浮き彫りになった。
Q. あなたは、タイパ(タイムパフォーマンス)とコスパ(コストパフォーマンス)ではどちらが大事だと思いますか。

Q. あなたは、何かをモノやサービスを購入するとき、どのような気持ちで行動しますか。

Q. あなたは、日頃自宅でテレビ番組を見ますか。

マーケティング戦略への示唆は?
この調査結果は、Z世代に向けたマーケティング戦略において、地域ごとの特性を考慮することの重要性を示している。
例えば、全国一律の広告戦略ではなく、地域ごとの消費スタイルに応じたメッセージを発信することが求められる。北陸地方であれば、体験型イベントを訴求し、東海地方であればテレビCMを活用したキャンペーンが有効かもしれない。
また、都市部と地方ではZ世代の価値観に違いがあることも考慮すべきである。都市部ではトレンドに敏感な層が多く、新しい消費体験を重視する傾向があるが、地方ではより伝統的な価値観が根付いている可能性が高い。そのため、地域ごとに異なるアプローチを取ることで、より効果的なマーケティングが可能となるだろう。
Z世代は一括りに語られることが多いが、本調査の結果からも分かるように、地域によって意識や行動には大きな違いがある。企業がZ世代をターゲットにする際は、こうした地域特性を考慮した戦略を展開することが求められる。今後のマーケティング活動においては、地域ごとのZ世代の特徴をより深く理解し、それに適応した施策を打ち出すことが成功の鍵となるだろう。