Z世代が「Z世代マーケティング」を嫌うワケ
「TikTokでバズってるらしいから」「Z世代はSDGsに関心が高いらしいから」……。 安易なイメージで語られることの多いのが、Z世代向けマーケティング。
しかし、はたして当事者であるZ世代の心に響いているのだろうか? 「僕と私と株式会社」が実施した、Z世代のリアルな声を集めた意識調査から、その実態と、本当に響くマーケティング戦略を探ってみたい。
「Z世代向け」の施策
約8割が未経験?
「自分たちに向けられたマーケティング施策に出会ったことがありますか?」 同社による意識調査(対象:全国のZ世代《15~27歳》男女)では、この問いに「はい」と回答したZ世代はわずか 19.6%。8割以上のZ世代にとって、「Z世代向け」を謳うサービスやプロモーションは、まだまだ“他人事”として捉えられているようだ。
Z世代の「ひと括り」に抵抗感
約6割が抱く違和感の正体
さらに、同調査では、「Z世代向け」と感じるマーケティング施策に「好きではない、違和感を感じる」と回答したZ世代が 18.2% にのぼり、「共感できた、好きだと思った」(13.2%)を上回る結果となった。
では、Z世代はなぜ「Z世代向け」を謳うマーケティング施策に違和感を感じるのだろうか。 その理由としてもっとも多かった回答は「年齢や世代で固定されたイメージが強化されてしまうから」( 57.3% )。 「Z世代はインフルエンサーが好き」「Z世代はエシカル消費志向が強い」……。 ステレオタイプなイメージで語られることに、半数以上のZ世代が抵抗感を抱いていることが浮き彫りに。
共感のカギは
「パーソナライズ」と「共創」
情報過多の時代において、情報は受動的に与えられるものではなく、自ら選んで取りに行く時代へと変化している。 Z世代の心を掴むためには、ありきたりな「Z世代向け」を謳うのではなく、一人ひとりの価値観やライフスタイルに寄り添い、共感と発見を提供する「パーソナライズ」されたコミュニケーションが重要なのではないか。
同調査においても、Z世代がマーケティング施策に最も期待することは「自分の興味や好みに合わせたもの」( 37.6% )だった。 個々の趣味嗜好や行動履歴などのデータを活用し、最適な情報やサービスを提供することで、初めて“自分ごと”として受け取ってもらえるはずだ。
たとえば、旅行好きなZ世代には、旅行先での体験を共有するSNSキャンペーンを展開したり、環境問題に関心の高いZ世代には、サステナビリティに配慮した商品開発の舞台裏を発信したり……。 多様化するZ世代のニーズを的確にくみ取り、共感を得られる接点を創出していくことが、マーケティング成功の鍵となるだろう。
👀GenZ's Eye👀
まさに今、Z世代である筆者が”Z世代の調査結果”を見て、「私はZ世代という括り自体に抵抗感はないけど、価値観は結局個人によって異なるよね〜」と、他人事のように感じてしまうのが本音。
たしかに多様化やパーソナライズ化が進んでいる現代、世代で一括りにするのは広すぎるかもしれない。しかし、Z世代の特徴やマジョリティによってトレンドが見えてくるから興味深いのではないだろうか。