Z世代の休息法「ベッド・ロッティング」が、スナック菓子のマーケティングに?

「今日はもう、何もしたくない…」

そんな風に思った経験は誰にでもあるだろう。ベッドに潜り込み、ただただ休息に身を委ねる時間。実は今、この「何もしない時間」を肯定的に捉える「ベッド・ロッティング」という考え方が、Z世代の間でトレンドになりつつある。そして、あの有名スナック菓子ブランドKindがこの動きに目をつけ、新たなマーケティングキャンペーンを展開し始めたという。

Kindが仕掛ける、新しい「ウェルネス」の形

Kindは、2020年にMars Inc.に買収されたスナック菓子ブランドだ。これまで「Better For You」をキーワードに、健康的なイメージを打ち出した商品展開で人気を集めてきた。そして今回、彼らが着目したのは、TikTok上で310万回以上も言及されているという「ベッド・ロッティング」だ。

Marketing Diveによれば、Kindはリアリティ番組で人気のCiara MillerとAmanda Batulaを起用し、2月12日からTikTokやInstagram上でキャンペーンを開始するという。キャンペーンでは、「ベッド・ロッティング」を1日体験できるホテル宿泊や、Kindの商品とオリジナルフーディーがセットになった「ベッド・ロッティング必需品キット」が当たる企画も用意されているとのことだ。

なぜKindは「ベッド・ロッティング」を支持するのか?

一見、怠惰なイメージさえある「ベッド・ロッティング」だが、Kindはこれを「休息」や「デジタルデトックス」と捉え、自社製品と関連付けることで、新たな「ウェルネス」の形を提案しようとしている。

背景には、競争の激化する健康食品市場の存在がある。同社によれば、世界の健康食品市場は2030年までに782億ドル規模に達すると予測されており、Kindもブランド再構築を急いでいる。今回のキャンペーンは、従来の健康的なイメージに加え、「休息」や「心の健康」といった要素を取り入れることで、より幅広い層へのアピールを狙いとしていると言えるだろう。

TikTok規制の行方は?

注目すべきは、KindがこのキャンペーンをTikTok上で展開している点だ。アメリカではTikTokの利用規制問題が議論されているが、KindはZ世代へのリーチを重視し、TikTokへの投資を続けている。

これは、規制の行方次第では大きなリスクとなる可能性もある。しかし、KindはTikTok Shopなどの新たな機能も積極的に活用しており、将来を見据えたマーケティング戦略を展開していると言えるだろう。

今回のKindのキャンペーンは、「ベッド・ロッティング」というZ世代のトレンドを、企業がどのように捉え、マーケティングに活用していくべきかを考える、興味深い事例と言えるだろう。

Top image: © Anchiy/iStock
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