Z世代の心を掴む「発見」戦略:Pinterest が牽引するビジュアルマーケティングの進化
従来型の広告手法が通用しにくいと言われる現代において、100年以上の歴史を持つコスメブランド「Maybelline New York(メイベリン ニューヨーク)」は、Z世代の心を掴む革新的な戦略でその壁を突破しつつある。
彼らが選んだ舞台は、5.22億人以上のアクティブユーザーを抱えZ世代の間でもっとも人気のあるプラットフォームのひとつ「Pinterest」だ。
ビジュアル重視のSNSから
「検索・発見の場」へ
米メディア「GLOSSY」によれば、Pinterestはグローバル月間ユーザーの40%以上をZ世代が独占。かつては「ビジュアルブック」のイメージが強かったPinretestだが、2020年にショッピング機能と広告機能を追加したことで急速に若年層ユーザーを惹きつけているようだ。
いっぽうメイベリンは、いち早くPinterestの可能性に着目し、2014年より協業を開始。コンテンツマーケティングや広告展開など、さまざまな戦略を積極的に行ってきた。
2021年にはPinterest上で人気のインフルエンサー20名以上とタイアップし、7つのパーソナルケアブランドのブランデッドコンテンツを作成。Pinterestの新機能「Idea Pins」を活用したインタラクティブなショートビデオは、狙い通りZ世代のハートを掴むことに成功した。
メイベリンの成功事例から読み解く
「共感型マーケティング」
メイベリンは、Pinterestの新しい広告フォーマット「Collages Remixes」も積極的に活用している。既存のコラージュをベースに、クリエイターが独自のコンテンツを制作できるこの機能は、ユーザーに「参加する喜び」と「共感体験」を提供する。
たとえば、メイクアップブランドであれば、ユーザーがお気に入りのコスメを使って自由にコラージュを作成し、それを共有するキャンペーンを展開することが考えられる。ユーザーは自分が作成したコンテンツがブランドの公式アカウントで紹介されるなどの特別な体験を通して、ブランドへの愛着をさらに深めることができるだろう。
実際に、メイベリンが実施した「Collages Remixes」を活用したキャンペーンでは、エンゲージメント率はブランド平均とプラットフォーム平均の5倍以上を記録し、キャンペーン開始以来「メイベリン」のPinterest検索数は32%増加したという。
これらの数字からも、PinterestがZ世代へのリーチを強化し、購買意欲の向上に繋がる有効なプラットフォームであることが伺える。彼らは従来の広告とは一線を画す「発見」体験を提供することで、企業と消費者を繋ぐ新たなマーケティングの潮流を生み出しているという点に注目したい。
👀GenZ's Eye👀
メイクやファッションのトレンドを探すのはPinterest、というイメージが日本でも広まってきている気がする。ユーザーがただシェアするだけでなく、参加していくことで距離が縮まり、ユーザー起点のサービスや商品が増えていくのではないだろうか。