「ビール × スキンケア」!ハイネケンの斜め上コラボに隠された、Z世代マーケティングの新潮流
よもや、ビールがスキンケアに化けるとは……。「Heineken®Silver」が「Heineken®Smootheriser」という異次元のコラボレーションで、ビューティー業界に殴り込み!?
一見、ミスマッチにも見えるこの取組み。その裏には、Z世代の消費行動を揺さぶる、巧妙な戦略が隠されていた。
エイプリルフールで終わらない
本気すぎる「ネタ」の誕生秘話
「冗談で始まったことが、あまりにもなめらかに進み、実現してしまいました」とは、ハイネケン®ブランドのグローバル・ヘッドであるNabil Nasser氏の弁。2024年4月1日に発表された「Heineken®Smootheriser」。当初はエイプリルフールのジョークだったはずが、なんと、本当に製品化されたというからおもしろい。
Heineken® Silverの特徴である爽やかな味を生み出す高品質の大麦とホップを配合し、さらに肌に潤いと栄養を与えるプレミアム処方を施した。1000個以上の限定ボックスが、一部のアクティベーションや景品を通じて、実際に販売される予定だという。ハイネケンの本気度、ハンパない。

SNSでバズり確定!?
境界線を溶かす、異業種コラボの破壊力
Heineken®Silverは、ブランド・エンゲージメントへの型破りなアプローチで注目を集め、人々の好奇心を引き出し、話題を生み出そうとしている。
インスタグラムでは、すでに「@heinekentw」と「@heinekenkh」にて、Heineken®Smootheriserに関する最新情報が発信されている。ビールと美容という、“まさか”な融合は、SNSで拡散され、バズを生み出す可能性はかなり大きいとみた。いや、むしろすでに賑わい始めている。
「意味不明」こそが正義?
Z世代に響く、遊び心とストーリー
それにつけても、なぜハイネケンはビールとスキンケアという異色の組み合わせに挑戦したのだろう。その背景には、Z世代の消費行動を読み解くヒントが。
Z世代は、商品そのものの機能性だけでなく、ブランドのストーリーや世界観に共感するかどうかを重視する傾向がある。今回のハイネケンの取組みは、まさにそのZ世代の心を掴むための戦略といえるだろう。
従来とはまったく異なるタッチポイントや方法でブランドと消費者が関わる今、Heineken® Silverは文化的トレンドに寄り添い、旧態依然としたマーケティングから一歩踏み出し、遊び心と破壊力(SNS上での影響力とも言えるか)のあるクリエイションを生み出している。
「意味不明だけど、おもしろい」。Z世代はそんな“斜め上いく発想”にこそ、価値を見出しているのかもしれない。

異業種コラボで生まれる、新ブランド価値
異業種コラボは、もはや珍しいものではない。しかし、今回のハイネケンの取組みが成功するかどうかは、Z世代の「共感」を得られるかどうかにかかっている。Z世代のインサイトを捉え、共感を呼ぶストーリーを紡ぎ出すこと。それが、異業種コラボを成功に導くための必要条件だろう。
「『Heineken®Silver』のようになめらかなものがあるのならば、なぜビールにのみとどめておく必要があるでしょう?」とはNasser氏の弁。
単にトレンドに乗るためだけのコラボではなく、そこに革新性やユニークネス、さらには文化的な関連性をも融合させ、ビール好きにも、スキンケアに興味がある人にも、記憶に残るクロスオーバーを創り出そうという同ブランドの狙いを感じずにはいられない。
さて、今回の「Heineken®Smootheriser」の発売は、カンボジアと台湾のみ。日本での展開は未定だが、SNSでの反響次第では、日本上陸も夢ではない。かも。固定概念を覆し、常に新しい驚きを提供する。ハイネケンの「斜め上」マーケティングから、目が離せない。