Z世代の「過剰スキンケア」の落とし穴
SNS上で、「#美容オタク」「#スキンケアマニア」といったハッシュタグを目にしない日はない。美容への意識の高まりは喜ばしいいっぽうで、行き過ぎた情報やトレンドに振り回されるケースも少なくない。とくに、Z世代の間で流行している「モーニングシェッド」という美容トレンドをご存知だろうか?
これは、朝の完璧な肌を手に入れるために、就寝前のスキンケアに過剰な時間と労力をかけるというもの。しかし、その裏では、睡眠不足や恋愛離れ、自己肯定感の低下など、さまざまな問題が懸念されている。
「美」への執着が招く皮肉?
就寝前のルーティンが「ホラー」級に進化
モーニングシェッドは、オーストラリア発のZ世代のスキンケアトレンドだ。「New York Post」が報じたところによると、同トレンドは美容ローラー、フェイスマスク、あごストラップなど、多種多様な美容グッズを用いた、複雑な就寝前のスキンケアルーティンを指す。
TikTokでは、「#モーニングシェッド」のハッシュタグがついた動画が拡散され、その過激なまでのスキンケアルーティンが話題に。しかし専門家からは、その効果に疑問を呈する声や、健康への悪影響を懸念する声があがっている。
皮膚科医が警鐘
「TikTok美容」は本当に効果あり?
豪メルボルンの皮膚科医James Vivian氏は、「News.com.au」の取材に対し、「モーニングシェッドで行われている多くのステップは、科学的根拠がなく、時間の無駄になる可能性がある」と指摘。スキンケアはシンプルであるべきという持論のもと、高価な美容グッズよりも、正しい洗顔、保湿、日焼け止めといった基本的なケアを重視するよう訴えている。
豪州で活躍する皮膚科医Katy Bacon氏も、同メディアの取材に対し、「20代と50代では、肌に必要なスキンケアは異なる」とコメント。最新の美容トレンドに飛びつく前に、まずは自身の肌質や年齢に合ったケアを見つけることが重要だと強調する。
さらに、Vivian氏とBacon氏は、「モーニングシェッド」による長時間のケアが、睡眠不足を引き起こす可能性を指摘。「睡眠は、肌の修復と再生に不可欠」と語るヴィヴィアン氏は、「老化を早めたくなければ、睡眠時間を削るべきではない」と警鐘を鳴らす。
「努力する美しさ」の呪縛
「モーニングシェッド」は、努力すれば美しさを手に入れられるという、現代社会の価値観を象徴していると言えるだろう。しかし、その価値観に縛られ、過剰な努力を自身に課すことは、真の幸福につながるのだろうか?
厚生労働省が2022年に行った「国民健康・栄養調査」によると、20代の平均睡眠時間は7時間27分と、全年代の中でもっとも短い。睡眠不足は、集中力や判断力の低下だけでなく、免疫力低下や生活習慣病のリスクを高めることにもつながる。
Bacon氏は、「効果的なスキンケアルーティンは、洗顔、美容液、保湿、日中の日焼け止めなど、いくつかの重要なステップに簡略化できる」とアドバイスする。その上で、「最高の結果を得るには、一貫性を優先することが重要」と付け加えている。
👀GenZ's Eye👀
最新の美容グッズや情報に惑わされることなく、自身の価値観に基づいた、健やかなライフスタイルを築くことが重要ですもんね。何事もやりすぎは良くないといったところでしょうか。