Z世代を虜にする「Spotify」。パーソナライズが生む共感と、新しい時代の胎動

「最近の若者はテレビ離れが進んでいる」なんて話は、もはや過去のものになりつつあるのかも。Spotifyが発表した「Culture Next 2024年版」によれば、Z世代にとってSpotifyは、単なる音楽アプリの枠を超え、もっと深い部分で彼らの日常に溶け込んでいるようだ。

Spotify = “今を生きる”ツール?

Spotifyによると、日本のZ世代の94%が「日常の活動中に音楽やポッドキャストを聴くことで、今この瞬間に生きている実感が湧くことがある」と回答。勉強中、通勤中、リラックスタイム……Z世代にとってSpotifyは、ありふれた日常のあらゆる瞬間に寄り添い、特別な感情を呼び起こす存在と言えそうだ。

共感プレイリストで深まる絆
音楽がつなぐ恋愛と友情の意外な関係

Z世代は「推し活」に夢中になるあまり、恋愛に興味がないと思われがち。しかし、今回の調査結果は、そんな固定概念を覆してくれる。なんでも、日本のZ世代の87%は「恋愛対象の相手と音楽の好みに共通点があると、つながりが深まる」と回答。

好きなアーティストや楽曲について語り合う時間は、2人の距離を縮め、特別な思い出を共有するかけがえのないものになる。さらに、2人の音楽の好みを1つのプレイリストにまとめるSpotifyのBlend機能の使用状況を見ると、過去2年間に作成・共有されたプレイリストのうち、60%がZ世代によるものというデータもある。このことからも、音楽を通して共感を深め合い、より強い絆で結ばれたいと願うZ世代の想いが伝わってくる。

情報過多な現代における
Z世代の新しい学び方

Spotify上級執行役員 広告事業部統括 立石ジョー氏は「若年層のSNS疲れが話題になっている昨今、Spotifyはポジティブな体験を求めるZ世代にとって欠かせないパートナーです」とコメント。

玉石混交の情報が溢れる現代において、“受け身”で情報収集をすることに疲れているZ世代は少なくない。そんな彼らがSpotifyで見出した答え、それは「パーソナライズされた没入体験」だ。Spotifyで提供されているパーソナライズプレイリストのストリーミング再生時間は、Z世代において前年比63%増加しており、ミレニアル世代やさらに上の世代と比較しても、その増加率は大きい。

さらに注目すべきは、ポッドキャストの台頭。Spotifyによれば、Z世代によるビデオポッドキャストの視聴時間は、2024年上半期で前年比58%増加し、29億分に達した。興味深いのは、日本のZ世代の30%が「話題のテレビ番組の最新エピソードよりも、話題のポッドキャストの最新エピソードを聴くことに、より高い文化的ステータスを感じている」と回答していること。これは、従来の一方的な情報発信ではなく、自分の興味関心に基づいた質の高いコンテンツを求めるZ世代の姿勢の表れと言えるだろう。

音楽を通して新しい文化に触れたり、ポッドキャストを通して新たな知識や価値観を獲得したり、SpotifyはZ世代にとって、無限の可能性を秘めた「学びの場」へと進化を遂げている。彼らがSpotifyを通じて、今後どのような世界を切り拓いていくのか、その動向から目が離せない。

👀GenZ's Eye👀

音楽が人間を繋ぐ、Z世代にとってはあまりにも当たり前すぎる事実かもしれない。筆者も海外に行く友人に「ホームシックになったときに聴きたいからプレイリストをたまに送って」と頼まれたことがあるが、「音楽をシェアすること」=「その音楽を聴いていたときの背景や感情をシェアすること」である場合があると感じる。友人がシェアしていた「今年よく聴いた曲」で「あぁこんな一年だったんだろうな」と想像したり。

好きな人に好きな歌を聞かれてラブソングを送ることで好意を匂わせる、なんてしたことある人も多いハズ。それほど音楽を「自分ゴト」と没入するのは世代特有であり、これからもっと強まっていく波なのだろうと感じる。

Top image: © :xavierarnau
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。