コスメショップでバースデーパーティー!? Z世代を虜にする「体験型マーケティング」の秘密

ティーンエイジャーの心を掴んで離さない、人気コスメショップのセフォラ。店内には色とりどりのコスメが並び、見ているだけでもワクワクする空間が広がっている。そんなセフォラで、ある新たなトレンドが生まれている。それは、10代の若者をターゲットにしたバースデーパーティーだ。

「セフォラで誕生日会」がトレンドに?

従来のキッズパーティーといえば、テーマパークやレストランなどが定番だった。しかし、近年、消費のトレンドは「モノ」から「体験」へと変化しつつある。The Business of Fashionによると、セフォラはこうしたトレンドをいち早く捉え、スキンケアに関心の高いティーンエイジャーをターゲットに、店内でバースデーパーティーを開催するサービスを展開し始めている。

The Business of Fashionに掲載されたジェニ・シュワルツ氏のエピソードでは、娘のミアさんが9歳の誕生日にセフォラでパーティーを開きたいと希望したという。「え、セフォラで誕生日会…?」と驚く人もいるかもしれない。しかし、セフォラでのバースデーパーティーは、単なる買い物にとどまらない。メイクアップチュートリアルや、人気商品の香りの数を当てるクイズラリーなど、参加者にとって特別な体験となる工夫が凝らされている。シュワルツ氏も「子どもたちはクールで洗練された体験ができ、美容のヒントも得られた」と、その魅力を語っている。

Z世代を虜にする「体験型マーケティング」

セフォラがバースデーパーティーという形態をとるのは、彼らが単なる小売店ではなく、顧客体験を提供する場へと進化しようとしている証と言えるだろう。10代の若いうちからセフォラでの特別な時間を提供することで、ブランドへの愛着を育み、将来の顧客獲得に繋げたいという狙いがあると考えられる。

事実、The Business of Fashionによれば、グロッシアーで12歳の娘の誕生日会を開催したというブランディ・モンタギュー氏は「ショッピングモールにいるついでに、シェイクシャックやスターバックスに寄れば、10代にとって完璧な誕生日パーティーになる」とコメントしている。このように、セフォラでのバースデーパーティーは、親世代にとっても魅力的な選択肢となりつつあるようだ。

これからの時代、企業は「顧客との共体験」を

SNSの普及により、誰もが情報発信できるようになった現代。企業が一方的に情報を発信する従来型のマーケティング手法は、もはや通用しなくなってきていると言えるだろう。

セフォラのバースデーパーティーは、従来のキッズマーケティングの枠を超え、Z世代の価値観や消費行動に合致した、新たなマーケティング戦略と言える。商品やサービスを一方的に提供するのではなく、顧客と共感し、特別な体験を共有することの重要性を、セフォラの取り組みは示唆している。

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