Z世代の心を掴む、e.l.f.のマーケティング戦略:売上40%UPの鍵は「共感」と「遊び心」

現代のマーケティングにおいて、Z世代へのアプローチは避けて通れない課題となっている。ありきたりな広告はもはや響かず、彼ら独自の価値観に寄り添った、よりパーソナルな共感が求められている。 そんな中、コスメブランド「e.l.f.」の戦略が、多くのマーケターから注目を集めている。

TikTokで売上40%UP?! e.l.f.の快進撃

「Marketing Dive」によると、e.l.f.は2025年度第2四半期に売上を40%も伸ばしたという。驚異的な数字を叩き出した背景には、TikTokを駆使したデジタルマーケティング戦略の存在がある。 e.l.f.は、従来の広告手法とは一線を画し、Z世代の心を掴む、エンターテイメント性溢れるコンテンツを積極的に発信している。

ジェンダーの壁を越えて:Meghan Trainorと作る、空の安全

たとえば、人気歌手Meghan Trainorを起用したキャンペーンでは、彼女を架空の航空会社「e.l.f. Air」の機長に任命。機内安全ビデオのパロディ動画を制作し、TikTok上で公開した。 「Civil Aviation Authority」のデータによると、世界的に見ても男性パイロットの割合は9割以上を占めるという。e.l.f.は、この現状を背景に、遊び心のある動画を通して、ジェンダー平等という社会問題に一石を投じている。

広告は、日常に溶け込むエンターテイメント体験に

e.l.f.の戦略はTikTokだけに留まらない。Uberのアプリ内広告も効果的に活用し、「Cloud Skin」キャンペーンでは、空港へ向かうUberユーザーに対し、特別仕様の広告を配信。移動中という、消費者の行動に合わせた形で自然に広告を露出することで、e.l.f.の世界観を体験できるような仕掛けを施した。

e.l.f.のチーフ・マーケティング・オフィサーであるPatrick O'Keefe氏は、

「我々は単に商品を宣伝するのではなく、コミュニティと共感し、より大きな目標を掲げることを目指している。ユーモアと創造性を核に、時には既存の価値観に挑戦し、変化を促す。そして、そのすべてに優しさを忘れない」

と述べている。

e.l.f.の事例は、商品やサービスをPRするだけでなく、社会問題に対してブランドとしてどのように向き合い、行動していくかという姿勢を示すことの重要性を改めて認識させてくれる。 これは、従来の広告に飽き飽きし、企業の社会的責任に高い関心を寄せるZ世代の心を掴む、一つの解答と言えるだろう。

Reference: marketingdive
Top image: © metamorworks/iStock
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