節約家だけど浪費家。矛盾に満ちたZ世代の消費行動と、財布の紐を緩める“感情的な価値”とは
節約のために支出を切り詰める一方で、特定のアイテムには惜しみなくお金を使う。
デジタルネイティブでありながら、リアルな店舗での「体験」を渇望する。
コンサルティングファームPwCが発表した最新の分析によると、Z世代は一見すると矛盾に満ちた、複雑な消費行動を見せているという。
お金を使う基準が変わった世代
PwCの分析によれば、Z世代は衣料品などの支出を全体的に削減する傾向にある。しかし、これは単なる倹約ではない。彼らは、お金を使う対象を極めて慎重に選び抜いているのだ。
Z世代の心を動かすのは、割引率といった単純な経済合理性だけではない。「感情的・社会的な価値」こそが、彼らの財布の紐を緩める鍵だという。
例えば、高価な抹茶や限定スニーカー、スキンケア効果を謳う化粧品といった「ささやかな贅沢」は、自身の経済状況を過度に圧迫することなく、文化的なアンテナの高さや所属意識を満たすための投資と見なされているようだ。
ブランド信仰の終わりと「賢い選択」
かつての世代とは異なり、Z世代は特定のブランドに固執しない傾向が強い。
有名ブランドを好みつつも、より安価なプライベートブランドや代替品(いわゆる「デュープ」)を選ぶことに抵抗がなく、むしろそれを「賢い選択」と捉える。
PwCの調査では、ホリデーシーズンに82%ものZ世代が安価な代替品の購入を計画しているという結果も出ている。
彼らにとって重要なのは、ブランドの知名度よりも、その商品が今の自分に合っているかどうか、そしてその選択が自分らしさを表現できているかどうかなのかもしれない。
体験を求め、リアルな店舗へ
Z世代の購買行動におけるもう一つの興味深い変化は、実店舗への回帰だ。
61%のZ世代が、新しい商品をオンラインではなく実店舗で発見することを好むという。
商品を直接見て触れたいという欲求はもちろん、店の雰囲気やディスプレイを楽しむといった「体験」そのものが、店に足を運ぶ大きな動機となっている。
しかし、彼らはSNSでの情報収集も怠らない。オンラインで情報を吟味し、オフラインで体験を確かめるという、デジタルとリアルを巧みに行き来するハイブリッドな消費スタイルが、この世代の新たなスタンダードとなりつつあるようだ。






